研究課題/領域番号 |
19K08259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
難波 文彦 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (20643323)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 未熟児網膜症 / 高濃度酸素 / 早産児 / チオレドキシン / 動物モデル / 血管新生 / 無血管野 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、抗酸化酵素ヒト・チオレドキシン(human thioredoxin、hTRX)を高発現するトランスジェニック(transgenic、Tg)マウスを用い、肺内hTRX 発現上昇は生直後の高濃度酸素性肺傷害に対して防御的に働くことを示してきた。本研究では、同hTRX Tgマウスを用い、高濃度酸素暴露による未熟児網膜症(retinopathy of prematurity、ROP)マウスモデルにおけるhTRX の重要性を明らかにし、またヒト早産児検体中hTRX 濃度がROP のバイオマーカーになり得るか検討することを目的とする。
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研究成果の概要 |
野生型(WT)とチオレドキシン-1(TRX)-Tgマウスを新生仔期に高濃度酸素に曝露し、網膜表現型を評価した。高濃度酸素曝露後のWTでは、網膜内の無血管野と新生血管による結節面積の増加が認められたが、TRX-Tgでは、増加が軽減された。曝露後のWT網膜では、血管新生因子の発現低下と炎症性サイトカインの発現上昇を認めたが、TRX-Tg網膜では認めなかった。高濃度酸素曝露からの回復期では、TRX-Tgでは、異常な新生血管形成および血管透過性の亢進を抑制した。以上、過剰発現したTRXは、炎症性サイトカイン及び血管新生因子の遺伝子発現を調節することにより、高濃度酸素性網膜症の表現型を軽減させた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
未熟児網膜症(retinopathy of prematurity、ROP)は、小児の失明原因の中で最も多い原因の一つで、主に在胎期間28週未満の超早産児が罹患する。現在、ROPに対する治療として、レーザー光凝固術、冷凍凝固術、抗血管内皮増殖因子薬硝子体注射が行われているが、その効果は限定的であり、副作用も懸念される。本研究では、TRX-Tgマウスは、WTマウスと比較して、高濃度酸素曝露による網膜障害を軽減した。今回のわれわれの結果から、TRXは将来ROPの予防または治療薬として臨床応用されることが期待される。
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