研究課題/領域番号 |
19K08275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水岸 貴代美 京都大学, 医学研究科, 研究員 (70518448)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スフィンゴ脂質 / 妊娠 / 不育症 / シトルリン化 / 胎児医学 |
研究開始時の研究の概要 |
不育症には原因不明で難治性のものが多く、病態解明および治療法の開発が急務である。私 は、スフィンゴ脂質代謝に異常があり、不育症様の症状を呈するモデルマウスを用いてこの 問題に迫る。不育症モデルマウスでは、母体脱落膜組織中の過剰な炎症反応により、妊娠早 期に全ての胎児が死亡する。私のこれまでの研究により、自然免疫系、特に好中球の関与が 明らかになっている。本研究では、スフィンゴ脂質代謝異常により自然免疫異常が起こる分 子メカニズム、免疫異常によりもたらされる母体・胎児への影響を明らかにする。また、研究結果に基づき、自然免疫異常を抑制する阻害剤などを用いて不育症の新規治療法を開発す る。
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研究成果の概要 |
正常妊娠を維持するためには、胎児に対する過剰な免疫反応は制御されなければならない。本研究では、スフィンゴ脂質代謝異常により不育症様の症状を呈するモデルマウスを用いて検討を行った。モデルマウスでは、胎児を囲む脱落膜組織で過剰な好中球細胞外トラップ (NETs)が形成されていた。NETsを阻害する試薬をモデルマウスに投与すると、流産の割合が減少し、脱落膜組織の血管内皮障害が改善した。さらに、NETs形成の鍵となる、peptidylarginine deiminase (PAD)酵素/シトルリン化に着目し、脱落膜組織における新規シトルリン化タンパク質の同定に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自然流産は全妊娠の約15%でみられる。不育症とは妊娠は成立するものの流死産を繰り返し、最終的に健康な生児を持てない状態と定義され、習慣性流産とほぼ同義に用いられる。不育症は全妊娠の約3-5%で一般の認知度に比べて非常に高率である。不育症の65%以上は原因不明で難治性のものがかなりの割合で存在する。原因不明の難治性不育症については、確立された治療法が全くないのが現状である。我々の研究により、正常妊娠・不育症発症のメカニズムを解明できれば、原因不明の難治性の不育症のスクリーニング法、治療法を確立することができ、最終的には、日本が抱える「少子化問題の解決」に大きく貢献することが期待できる。
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