研究課題/領域番号 |
19K08291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
持田 京子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 流動研究員 (00834417)
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研究分担者 |
吉田 千春 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 主任研究員 (60360666)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 口唇口蓋裂 / 表皮癒合 / 遺伝子欠損マウス / 二分脊椎 / 口蓋裂疾患 / 上皮癒合 / マウス / 遺伝子改変マウス / 神経管閉鎖不全 / 先天異常 / 哺乳動物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではGRHL3タンパク質と関連する分子の発現量や発現領域を変化させた場合、上皮癒合に関わる先天異常の発症率並びに重篤度がどのような影響をうけるか実験モデルマウスを用いて検証する。具体的にはGrhl3遺伝子の様々なアレルを持った遺伝子改変マウスや、Grhl2遺伝子やPCP経路遺伝子欠損マウスとの交配によるダブル変異マウスの表現型解析を行う。さらに上皮癒合異常が見られるヒト疾患の発症原因遺伝子に対して、同じアミノ酸変異を持つ実験モデルマウスを作製し、表現型を解析する。これらの解析を通じて上皮癒合異常に起因する共通の病因機構を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、先天性疾患である二分脊椎と口蓋裂疾患の発症機序が同一のメカニズム、つまり「上皮癒合の破綻」に起因するものではないか、という仮説を検証する課題である。特に我々が注目しているGrhl3遺伝子は、ホモ欠損胚で開放性二分脊椎を発症し、胚性致死となる。これまでの解析結果から、Grhl3単独変異マウスでは口唇口蓋裂は発症しないことは既に明らかにしている。また、昨年度はGRHL3因子とタンパク間相互作用する因子を明らかにするため網羅的解析を行い、脱ユビキチン化酵素の一つである、USP39因子を同定した。そこでGrhl3とUsp39ダブル変異マウス(Grhl3-/-; Usp39+/-)の表現型解析を行った。結果、受精後15.5付近で見られる表皮癒合現象の一つ「眼瞼閉鎖」に異常が見られることがわかった。一方、ダブルヘテロ変異マウス (Grhl3+/-; Usp39+/-)は、正常に産まれ、また生殖能力などには異常が無く、口唇口蓋裂異常は発症しないことがわかった。このことから、Usp39因子はGRHL3タンパク質と直接結合し、表皮癒合現象の一つである眼瞼閉鎖過程に関与する一方、口唇口蓋裂の発症には影響を与えないことが示唆された。 そこで、本年度はさらにGRHL3因子と結合する候補因子を抽出し、その候補因子の発現解析や、GRHL3因子との結合能の評価を進めている。またそれら候補因子に対して、CRISPR/Cas9で遺伝子欠損させたホモ変異マウスの表現型解析も行う予定である。最終的には、Grhl3変異マウスとのダブル変異マウスを作製することで口唇口蓋裂の発症の有無を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発生過程の表皮癒合に影響を与えることが知られているGrhl3因子が、マウスの口唇口蓋裂発症に関与するのか検証を行うため、USP39因子とのダブル変異マウスの検証を行った。結果、ダブル変異マウスでは発症は認められなかったが、眼瞼閉鎖の異常を確認できた。このことは、GRHL3タンパク と直接結合するUSP39因子と協調的に働いて、表皮癒合に関わることが示唆され、これらの結果はこれまで知られておらず、新規性が高いため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらにGRHL3因子と直接結合するタンパク質を同定し、それら因子の発生過程における発現解析や遺伝子欠損マウスにおける単独遺伝子欠損状態での表現型解析を行う。これら因子の中で、より口唇口蓋裂に関係性のありそうな発現パターンや、表現型を示す因子に対してダブル変異マウスを作製し、口唇口蓋裂の発症有無を検証する予定である。ちなみに、既に候補遺伝子の一つは初期胚から発現し、GRHL3因子との結合能も確認しているものがあり、今後この因子を中心に表現型解析を進める。
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