研究課題/領域番号 |
19K08430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
玉井 恵一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 部長 (40509262)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 肝臓癌 |
研究開始時の研究の概要 |
進行した肝細胞癌は、現在においても根治は困難であり、新たな治療手段が望まれている。私たちは、癌細胞の「免疫不全マウスにおける造腫瘍能」を指標に癌幹細胞をスクリーニングした結果、分子Xが静止期癌幹細胞の維持に重要であることを見いだした。In vitro解析の結果、分子X高発現癌細胞は冬眠期に誘導され抗癌剤耐性能を獲得していた。興味深いことに、分子Xはミトコンドリアを抑制することで、癌細胞を低エネルギー状態に遷移させていることが示唆された。臨床検体を用いてこの現象を免疫染色でスクリーニングしたところ、肝細胞癌症例において、分子X発現癌細胞は明瞭に非増殖期(静止期)であることを突き止めた。
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研究成果の概要 |
近年、癌組織の中に「癌幹細胞」の存在が報告されている。癌幹細胞は静止期(G 0 期)に存在するため、抗癌剤や放射線照射に対して強い耐性を持ち、治療抵抗性の主因を担っている。従って、静止期に存在する癌幹細胞を通常の細胞周期に誘導できれば、効果的な癌治療に結びつく。私たちは、肝臓がんにおいてBEX2が静止期維持に重要であることを見出した。さらにBEX2発現を低下させる化合物を同定し、これによって抗癌剤感受性を増加させることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多くの固形がんは、抗がん剤の効果に乏しく難治性である。私たちの研究は肝臓がんにおいて、新しい治療標的を確立できると可能性を見出した。肝臓がんの中にある一部の静止期にとどまるがん細胞にとって重要なタンパクを同定し、このタンパク発現を変化させれば治療効果が増大する可能性を明らかにした。臨床応用のためにはさらなる知見の蓄積が必要である。
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