研究課題
基盤研究(C)
上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤や免疫チェックポイント阻害剤は、時に致死的な薬剤性肺傷害を発症するが、その機序は不明である。以前我々は薬剤性肺傷害症例の気管支肺胞洗浄液をフローサイトメトリー解析し、免役チェックポイント分子を高発現したリンパ球が増加していることを報告した。肺傷害の重要な責任細胞である可能性があり、動物モデルを用いた解析を計画した。マウスナフタレン肺傷害モデルに上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤を併用する薬剤性肺傷害モデルを用いて、気管支肺胞洗浄液や肺組織について免役チェックポイント分子に着目した解析を行い、薬剤性肺傷害発症機序の一端について解明を目指す。
間質性肺疾患症例について気管支肺胞洗浄液中リンパ球の免疫チェックポイント分子の発現を解析した。ICIによる薬剤性肺炎症例ではPD-1、TIM-3、TIGITの発現が有意に上昇していた(Int Immunol. 2020)。MDA5抗体陽性急性間質性肺炎では近似性を認めた (Rheumatology (Oxford). 2021)。サルコイドーシスでは自然軽快群でPD-1、TIM-3の発現が上昇していた(Biomedicines 2021)。マウスナフタレン肺傷害にEGFR-TKIを併用すると第1,2世代EGFR-TKIでは好中球優位の、第3世代では好中球とリンパ球優位の肺傷害を認めた。
薬剤性肺炎の機序は不明であるが一般的にリンパ球の上昇が認められる。今回、気管支肺胞洗浄液中のリンパ球が上昇する疾患として、薬剤性肺炎、膠原病間質性肺炎、サルコイドーシスにて免疫チェックポイント分子の解析と、T細胞活性化を示すことができた。また動物モデルでもリンパ球上昇を伴う薬剤性肺炎モデルができつつある。これらの解析が、薬剤性肺傷害の発症予測、治療法の開発への大きな第一歩となりうる
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Rheumatology (Oxford)
巻: 60 号: 1 ページ: e14-e16
10.1093/rheumatology/keaa412
Biomedicines
巻: 9 号: 9 ページ: 1231-1231
10.3390/biomedicines9091231
Int Innunol
巻: 32 号: 8 ページ: 547-557
10.1093/intimm/dxaa022