研究課題/領域番号 |
19K08799
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
林 周次郎 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (00599871)
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研究分担者 |
井川 健 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00372441)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ガドリニウム / ガドリニウム造影剤 / ガドジアミド / ガドテル酸メグルミン / リプログラミング / 細胞増殖 / 腎性全身性線維症 / ガドリニウムイオン / 線維芽細胞 / CD34 |
研究開始時の研究の概要 |
腎機能低下患者にMRI検査時のガドリニウム(Gd)の投与によって生じる腎性全身性線維症を対象にして病態形成の検討をおこなったところ、培養線維芽細胞の増殖能の上昇がみられることと、病変局所の真皮において、CD34陽性の線維芽細胞が多数みられることを見出した。上記の研究結果はGdの刺激が線維芽細胞をある程度の未分化方向へ巻き戻す可能性を示している。本研究ではGd添加下で線維芽細胞を培養し、CD34の発現増強がみられること、未分化状態に関連する遺伝子、タンパク発現について検討する。さらに、そこから培地の環境を変化させ、transdifferentiationを起こす可能性についても検討する。
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研究成果の概要 |
我々はMRI検査時のガドリニウム(Gd)の投与によって諸臓器に線維化をきたす疾患である腎性全身性線維症を対象にして病態形成メカニズムの検討をおこなったところ、培養線維芽細胞においてGd添加によりCD34陽性の線維芽細胞が多数みられることを見出した。CD34は間葉系幹細胞の表面マーカーの一つである。そこで、Gdの刺激が線維芽細胞を未分化方向へ巻き戻すのではないかという仮説を立てた。キレート結合能の異なる二種類のGd造影剤を用いて解析した結果、キレート結合能が低い造影剤では有意に細胞増殖と複数の未分化マーカーの発現上昇を認めた。この結果はGd刺激がリプログラミングを起こしている可能性を示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、iPS細胞作製の技術ならびに考え方の出現により、生命科学の常識が大きく変わった。その一つが、我々を構成する体細胞は、実は、豊富な可塑性を包含しており、様々な環境に応じて、多能性を持つ可能性を持っているという考え方である。本研究では、Gdによる刺激が皮膚線維芽細胞をより未分化な状態に巻き戻す可能性を追究することを目的にしている。Gd刺激により線維芽細胞が未分化方向へ巻き戻ることが確認されれば、Gd刺激をうまく利用することによって、iPS細胞を介さない、あるいは、遺伝子の導入などを必要とせず、培地環境の変更で、体細胞が胚葉を越えた分化(direct conversion)を示す可能性がある。
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