研究課題/領域番号 |
19K08941
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
伊藤 正恵 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (10201328)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | SSPEウイルス / 神経病原性 / 持続感染 / 麻疹ウイルス / 亜急性硬化性全脳炎 / 潜伏感染 |
研究開始時の研究の概要 |
亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis、SSPE)ウイルスはゲノムのあらゆる遺伝子に多数の変異を持つが、それらは多段階変異の痕跡と理解することができる。そこで申請者は、そのゲノム上に残された変異を分子ウイルス学的に解剖することにより網羅的に解析し、変異過程をあらためて構築するという新しい発想に基づき、SSPEの病原性発現機構に迫ることを計画した。本研究の目的は、SSPEウイルスKobe-1株ゲノム上の変異を導入した様々な組換え麻疹ウイルスを人工的に作製して変異途上にあると考えられるウイルスのライブラリーを創出し、麻疹ウイルスからSSPEウイルスへと至る過程を再現実証することである。
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研究成果の概要 |
亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis、SSPE)ウイルスの神経病原性発現分子機構の全容を明らかにするため、SSPEウイルスKobe-1株ゲノム上の全変異について解析した。P、F、HおよびL蛋白質にはそれぞれの蛋白質機能を抑制するアミノ酸変異が同定され、それらの変異を持つ組換えウイルスは神経細胞での増殖を減弱させた。Kobe-1株は、FおよびM蛋白質に神経病原性に必須のアミノ酸変異を得て脳内での増殖を亢進し発症へと至るが、麻疹ウイルスからSSPEウイルスへの変異の過程で、持続感染時期に神経細胞での増殖を抑制する変異が必要であると推察された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
SSPEは、麻疹治癒後も麻疹ウイルスが脳内に持続感染し、5から10年を経て稀に発症する致死的疾患である。発症前の変異途上のウイルスを得ることはできず、本研究において、発症後に分離されたウイルスのゲノム上の全変異を解析することにより、初めて持続感染の分子機構を推察するに至った。今後、他のSSPEウイルス株において同様の解析を積み重ね、病原性発現機構の全体像が明らかとなれば、未だ科学的根拠が不明なワクチン株がSSPEを発症しない理由の解明へと展開でき、同時に、治療法や治療薬開発の可能性につながるものと期待される。
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