研究課題
基盤研究(C)
本研究者らは近年、大腸癌・腺腫の解析から、ミスマッチ修復欠損(dMMR)/マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)大腸癌において、糖転移酵素遺伝子が発癌過程でメチル化により発現抑制され、短縮型癌関連糖鎖の高発現が誘導されること、それらが予後不良に関連するという新規知見を得た。本研究課題は、大規模症例を用いたゲノム医学・omicsと糖鎖生物学・分子生物学的手法により、癌細胞上の短縮型糖鎖抗原誘導のメカニズムと、免疫抑制的微小環境に与える影響を検討し、バイオマーカーおよび治療標的としての可能性に迫ることである。
大腸癌において、癌関連の短縮型糖鎖であるTn抗原が発現することが知られる。近年、Tn抗原のような腫瘍細胞表面の糖鎖は腫瘍微小環境において免疫抑制的なシグナルを誘導するとともに、それ自体が免疫チェックポイントとみなしうることが示唆されている。当研究では、免疫組織学的検討により500例超の大腸癌・大腸腺腫を評価し、一部の大腸癌、特にdMMR大腸癌においてTn抗原強陽性症例の存在を確認した。dMMR大腸癌において、Tn抗原強陽性症例はCD8陽性T細胞浸潤が低く、PD-L1陽性率も低いことがわかった。このような腫瘍はTn抗原を標的とした治療の適応となる可能性がある。
大腸癌、特にdMMR大腸癌において腫瘍免疫の抑制に重要な役割を果たすことが示唆されるTn抗原についてその臨床的意義を解明することは、大腸癌の進展や腫瘍免疫の生物学的機構を理解するために重要であり、または大腸癌治療の個別化にも寄与しうると考える。
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