研究課題
基盤研究(C)
開発途上国(以下、途上国)では、疾病構造の変化により急性期医療の需要が高まっている。先進国の救急医療モデルは費用の面から適さないため、新たなモデルが必要である。途上国では、プライマリ・ヘルスケア (PHC) の枠組み(非専門職へのタスク・シフティングと住民参加)により地域保健医療サービスを拡大してきた。この枠組みを活用して、費用対効果の高い救急医療システムを構築し、さらに保健医療システム全体を強化できる可能性がある。本研究では、PHCの枠組みを活用した地域の救急医療システム構築により、保健医療システム全般へのアクセスが改善しうることを示し、新しい途上国の救急医療発展モデルを提案する。
タイにおける、プライマリ・ヘルスケア枠組みを応用した救急医療システムの利点を記述した。ボランティアの活用により病院から遠方の地域でもファーストエイドへのアクセスを改善しうること、救急搬送システムがカバーする地域を拡大しうることを、コンケン県の先進的事例を用いて示した。また、ベトナムにおいては、心肺停止患者、脳卒中患者を対象として、救急医療へのアクセス(目撃者による蘇生、発症から病院到着までの時間)を定量的に分析した。さらに、アジア6カ国の救急搬送システムを定性的に比較して、適切な救急システム発展に必須の要素として、主管官庁の設立、法整備、予算配分、住民参加が重要であることを示した。
本研究は、ボランティアの活用により、病院前救護システムを拡充(救急医療へのアクセスを改善)しうることを示した。つまり、プライマリ・ヘルスケアの枠組みが、救急医療システムの強化に役立つということである。多くの国、特に途上国の保健医療システムではプライマリ・ヘルスケア枠組みを内在しており、これを救急医療にも転用、あるいは救急医療を既存の保健医療システムに統合することで、効率よく救急搬送システムを構築することが可能である。タイで見られるボランティアやベーシックな救急搬送システムは、資源の乏しい国や地域においても応用可能である。
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