研究課題/領域番号 |
19K09403
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
中原 慎二 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 教授 (40265658)
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研究分担者 |
市川 政雄 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20343098)
坂本 哲也 帝京大学, 医学部, 教授 (40365979)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 救急医療 / 病院前救護 / 地域保健医療システム / 開発途上国 / タイ / ベトナム / 地域保健医療 |
研究開始時の研究の概要 |
開発途上国(以下、途上国)では、疾病構造の変化により急性期医療の需要が高まっている。先進国の救急医療モデルは費用の面から適さないため、新たなモデルが必要である。途上国では、プライマリ・ヘルスケア (PHC) の枠組み(非専門職へのタスク・シフティングと住民参加)により地域保健医療サービスを拡大してきた。この枠組みを活用して、費用対効果の高い救急医療システムを構築し、さらに保健医療システム全体を強化できる可能性がある。本研究では、PHCの枠組みを活用した地域の救急医療システム構築により、保健医療システム全般へのアクセスが改善しうることを示し、新しい途上国の救急医療発展モデルを提案する。
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研究実績の概要 |
タイにおいて、現地研究者(コンケン病院)と協力してタイの救急医療モデルの発展過程を調査し記述するとともに、発展とともに重症患者の救急車利用割合が上昇することを、コンケン県のデータを用いて示し、論文化した(投稿中)。本研究の主要目的である、プライマリヘルスケアシステムと救急医療との統合の効果評価としては、タイのVillage Health Volunteer (VHV)の救急医療への統合により、農村部における救急医療のアウトカムが劇的に改善しうることをケーススタディーとして報告した(Prehosp Disaster Med. 2021;36:234-6)。また、VHVをコロナ対策に効果的に動員してパンデミックを抑え込んだタイの経験から、VHVがpublic health emergencyに対しても効果的に対応できることを報告した(Bull World Health Organ 2021; 99(5): 393-7)。 ベトナムでは、現地研究者(ハノイ医科大学)の協力を得て、ハノイ市内の国立病院や大学病院など三次医療施設の救急部門の多施設データを用い、心肺停止患者のような重症患者の場合でも、救急車による搬送、目撃者による心肺蘇生は非常にまれであり、結果的に非常に予後不良であることを報告した(Emerg Med Australas 2021 in press)。また、ハノイの救急指令センターのデータを用い、過去数年間に救急搬送人数は増加しているにもかかわらず、救急車、救急隊員の数は微減傾向にあり、増加するニーズを満たすためには予算の増額や人員増が必要であることを報告した(投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のために現地調査を実施することができなかったため、2020年度に予定していた、救急医療システム評価指標(科研費16K11422により開発)を用いた分析は十分に行うことができなかった。しかし、初年度に収集したタイとベトナムの情報とデータおよび既存の診療データをもとに分析を行い、論文化を進めた。タイの救急医療モデルの歴史的発展過程について記述するとともに、現在進められているボランティアを用いたシステムの評価を報告した。ベトナムにおいては、ハノイの病院及び救急指令センターのデータを用いて現状評価を報告した。現地調査はできなかったが、その分の時間、さらには緊急事態宣言下で在宅していた時間を用いて、分析と論文作成は予定よりも大きく進捗できた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍のために2021年度以降も渡航が難しく、2020年度までに緊密な協力関係を築くことができたタイ、ベトナムにおいて、現地研究者の協力の下で調査を継続する。タイでは、コンケン病院の外傷登録データおよびコンケン県の救急医療データを用いた分析を継続していく。ベトナムにおいては、タンホア州で新たな救急医療政策が採択されたので、現地研究者の協力を得て、救急医療システム評価指標を用いた評価を行いたい。評価指標のタイ語版、ベトナム語版を作成して、タイ、コンケン県および、ベトナム、タンホア州の救急医療システムを記述し、比較する。
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