研究課題
基盤研究(C)
近年の血管内治療や集中治療の発達で、腹部外傷外科における手術症例は減少傾向である。そのため、米国外科学会や世界外科学会では動物や屍体を使用したシミュレーションコースを世界的に展開してきた。しかし、それらのコースは高額でリソースに限りもあり汎用性があるとは言えなかった。本研究課題では外傷患者固有の術前Computed Tomographyや自由視点映像技術で手術映像を三次元化・立体視化し、バーチャルリアリティ(VR)に重畳表示する、従来にはない拡張現実と複合現実を利用した腹部外傷外科手術VRシミュレーターと電子教科書を開発し、これを用いて臨床手技に基づく実践的な教育法の確立を目的とする。
腹部外傷VRモデルの作成の一環として、患者固有の術前CT画像3Dコンピューターグラフィック(3DCG)化および立体視化を行い、外傷初期診療シミュレーションのデモンストレーションを行い、NASA-TLXスコアよる評価を 行い、VR技術を用いた外傷初期診療シミュレー ションは、診断や治療戦略にかかる作業負荷を軽減させ学習効果を高められる可能性があることが示唆された。また、変形可能な腹部外傷手術シミュレーターの開発として、外傷手術手技に必要な手技の一つ、「腹腔内大動脈遮断」および「腹部臓器翻転操作」を再現するコンピュー ターグラフィックに力覚装置を付加したシステムを作成し、その効果を検証した。
当研究では、これまですでに外科の他分野で活用されつつあるVR外科シミュレーションの技術を外傷外科の分野に発展させ、従来のシミュレーションの欠点を補足できるような、反復可能でより普及しやすいトレーニングシステムの開発を目的とし、患者固有の術前CT画像3Dコンピューターグラフィック(3DCG)化および立体視化やコンピュー ターグラフィックに力覚装置を付加したシミュレーションの開発を行い、シミュレーションの学習効果が高められる可能性が示唆された。より効果的なシミュレーションを行うことで、外 傷初期診療の質の向上や、ひいては外傷患者の救命率の向上につながる可能性があり、社会的な意義は大きいと思われた。
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