研究課題
基盤研究(C)
骨格筋は極めて高い再生能力を有する臓器であるが,病的環境下ではその能力が低下し,筋脂肪変性,線維化などが生じる.脂肪変性・線維化は不可逆的な現象であり,運動機能を損なうだけでなく,より一層の筋萎縮の原因となる.しかしながら,筋変性に対する効果的な予防法,治療法は確立していない.本研究の目的はこうした骨格筋の筋脂肪変性,線維化のメカニズムを解明するとともに,その治療法につながる知見を得ることである.
骨格筋は極めて高い適応能力,再生能力を有する臓器である.しかしながら病的な環境ではその能力は低下し,筋萎縮のみならず,筋脂肪変性,線維化などが生じうる.その結果,骨格筋の機能が著しく阻害されるが,効果的な予防法,治療法は未だ確立していない.本研究の結果から,レチノイン酸受容体シグナルが骨格筋の脂肪変性の制御に関わり,そのシグナルの阻害にて,腱断裂・脱神経に伴って生じる脂肪変性を効率的に抑制しうることを明らかにした.また,老齢マウスも用いることで,骨格筋の脂肪変性が加齢とともに促進することを示した.これらの成果は,骨格筋変性予防の臨床応用につながる重要な知見である.
加齢に伴う運動器の変性疾患として,従来,変形性関節症および骨粗鬆症が主な研究対象であったが,フレイルという疾患概念において骨格筋の重要性は論を俟たない.骨格筋は様々な原因で萎縮,変性を生じ,運動機能を著しく損なう.これらの病態は,高齢者の転倒・転落の一因となることから,臨床的にもその対応は重要である.しかしながら,その対応は物理療法や栄養指導にとどまっており,有効な治療法,予防法が確立されていない.今回の研究結果は,骨格筋の脂肪変性のメカニズムの一端を明らかにし,さらにその予防法までを示唆する内容であり,基礎的な側面だけでなく,臨床的にも重要な知見であると考える.
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Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic & Related Surgery
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10.1016/j.arthro.2021.09.014
Am J Sports Med
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