研究課題/領域番号 |
19K09711
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
荒木 元朗 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90467746)
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研究分担者 |
城所 研吾 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50435020)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 腎移植 / 腎虚血再灌流障害 / 腎虚血再還流障害 / 急性腎障害 / 虚血再灌流障害 |
研究開始時の研究の概要 |
腎虚血再還流障害は移植腎の予後に影響を与える重大な病態であるが、有効な治療法はない。我々はこれまで、好中球がその障害において中心的役割を担うことを明らかにしてきた。腎臓では困難とされていた多光子レーザー顕微鏡を用いた好中球のin vivoリアルタイムイメージング(iRI)にも成功した。我々は予備実験で内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)-ノックアウトマウスではコントロール群とくらべ腎障害が強くなるという結果を得た。そこで逆に一酸化窒素の効果を増強する血管拡張作用をもつPDE5阻害薬のタダラフィル(Td)に着目した。今回の我々の仮説は“Tdは腎虚血再還流障害の新しい治療薬となる”である。
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研究成果の概要 |
WT、eNOS-KOマウス共に、タダラフィル投与により有意な尿細管障害の軽減を認めた。腎臓内のフローサイトメトリーでは、タダラフィル投与群で腎組織内の好中球の割合がWT、eNOS-KOマウス共に有意に減少していた。in vivo イメージングにおいて糸球体へ流入する好中球は1時間時点でWTよりeNOS-KOマウスで強く集積し、3時間時点でより多くの好中球の尿細管への移行を認めた。タダラフィルの内服は糸球体への好中球流入を軽減し、eNOS-KOにおいてより顕著であった。さらに、再灌流後1時間での糸球体内の好中球陽性体積の割合はWTよりeNOS-KOで有意に高く、双方ともにタダラフィルで減少した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腎虚血再灌流障害の新たな研究手法として2光子レーザー顕微鏡を用いたイメージング技術を駆使することで、世界に先駆けて生体マウス腎において好中球in vivo イメージングに成功した。これにより、好中球の糸球体への流入・血管内rollingを捉える事が可能となり、さらなる病態解明に寄与できる。今回、局所での好中球浸潤がタダラフィルにより抑制されることが確認できた。腎組織内の微小環境の変化をダイナミックに直接可視化できるこのイメージング技術は、腎臓に留まらない、様々な臓器における疾患の病態基盤の解明に有用であると考えられる。本研究の成果から、tadalafilが治療候補となり得る可能性が示唆された。
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