研究課題/領域番号 |
19K09797
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
水本 泰成 金沢大学, 医学系, 講師 (00420331)
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研究分担者 |
藤原 浩 金沢大学, 医学系, 教授 (30252456)
大黒 多希子 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (30767249)
松岡 歩 金沢大学, 附属病院, 助教 (50579662)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 卵巣癌腹膜播種 / フィブリン網 / 組織因子 / 血管新生因子 / 卵巣癌 / 腹膜播種 / がん細胞集塊 / フィブリン網誘導 / 癌細胞集塊 / Tissue Factor |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣癌は女性性器の悪性腫瘍のうち最も死亡率が高く、その要因は腹腔内全体に癌細胞が広がり微小な転移を形成する進展様式にある。自覚症状に乏しいため約60%の症例が腹膜播種性転移を起こした進行状態で発見され、胸腹水貯留による呼吸苦や腹部膨満感を引き起こして落命することが多い。一方で腹水中に癌細胞が存在するにも関わらず、腹膜播種巣の形成が乏しく予後が良い卵巣癌症例も存在することから、腹膜播種形成の分子機構の解明が治療方針や患者の予後を決める上で重要と考えられる。本研究は、これまで提唱されてきた概念とは異なる視点から腹膜播種の成立機構を紐解き、卵巣癌治療成績向上を目指すものである。
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研究成果の概要 |
本研究では、卵巣癌腹膜播種の成立段階におけるフィブリン網、組織因子(TF)の関与が明らかとなった。フィブリン網にトラップされた卵巣癌細胞集塊に対し、初期段階での血管新生因子(VEGF-A)による補給血管の誘導が、重要であることが示唆された。これらは、卵巣がんの予後規定因子である腹膜播種の制御における、抗フィブリン療法、TF標的治療、血管新生阻害療法などの治療戦略の可能性を示唆する結果であり、今後のさらなる検証の礎となるものである。 正常免疫マウスを用いた腹膜播種モデルにおける観察においてヒト臨床検体と同様の癌細胞集塊のフィブリン網による捕捉現象が再現されており、さらなる解析に有用なモデルである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で明らかとなった卵巣癌腹膜播種の成立におけるフィブリン網、組織因子、血管新生因子の関与は、これまでの上皮間葉転換(EMT)仮説とは全く異なる機序であり、卵巣がんの予後不良因子である腹膜播種に対する、新たな治療戦略の開発への礎となりうるものである。早期発見の困難な卵巣高異形度漿液性癌における新規治療戦略に結実する可能性があり、社会的意義が大きいと考えられる。
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