研究課題
基盤研究(C)
羊水塞栓症は日本における妊産婦死亡の最大の原因である。病態として急激なアナフィラクトイド反応が関与していると考えている。羊水塞栓症の分類として子宮型羊水塞栓症と、心肺虚脱型羊水塞栓症があることを証明してきた。一方で、心肺虚脱型羊水塞栓症は依然として救命率が低い。本研究では心肺虚脱型羊水塞栓症の救命法の開発を目的とする。心肺虚脱型羊水塞栓症の心肺停止時およびその直前では徐脈性不整脈を認めており心臓や肺に強いアナフィラクトイド反応があると推測している。治療としてアナフィラクトイド反応の抑制の観点からC1インヒビターの投与と心肺停止時には硫酸アトロピンの早期段階からの投与による改善が期待される。
羊水塞栓症死亡例では救命例と比べて2回以上の心停止症例数が多く、発症時動脈血液ガスpHは低く、血清トリプターゼが高値であった。羊水塞栓症の病理解剖13例の肺、心筋、子宮、肝、腎、副腎組織を用いてトリプターゼ染色を行ったところ、肺、心筋、子宮では他の臓器と比べて広い脱顆粒反応が認められた。羊水塞栓症では補体系産物C3a/C5aを不活化するトロンビン活性化線溶阻害因子(TAFI)が低下しており、肥満細胞脱顆粒に関わる可能性が示唆された。肥満細胞株LAD2の培養系を確立し、細胞内全トリプターゼ濃度を評価した。以上のようにアドレナリンのターゲットとなる肥満細胞の分布、活性化、関連因子について検討した。
羊水塞栓症は日本における妊産婦死亡の最大の原因であり、医学的、医療社会的にみても影響力が大きい産科救急疾患である。本研究では肥満細胞に焦点を当て、臨床的、基礎的な検討を通して、ターゲットである肥満細胞が羊水塞栓症でどのように病態に関わっているのか詳細を解明することができた。具体的に、今まで関連が不明であったアナフィラクトイド反応と血液凝固障害について、候補因子を見出すことができた。さらに、肺、心筋、子宮に特異的な肥満細胞活性化を明らかにしたことは病態上重要である。アドレナリンの気管内投与あるいはアナフィラキシーに準じた早期投与などによる活性化肥満細胞を抑制する治療が有効と推測される。
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