研究課題/領域番号 |
19K10008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冨田 興一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90423178)
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研究分担者 |
矢野 健二 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (40174560)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 乳房再建 / 知覚皮弁 / 埋め込み型皮弁 / 脂肪組織由来間葉系幹細胞 / 皮膚知覚 |
研究開始時の研究の概要 |
乳癌切除後、乳房皮膚知覚は障害される。再建乳房の知覚向上には、損傷知覚神経による皮膚再支配が必要である。過去に、移植皮弁を知覚皮弁とする試み(皮弁の知覚神経を乳房側の損傷神経と縫合)を行った。一方、近年、皮下乳腺全摘が普及し、皮弁皮膚を体表に露出せず、皮下へ埋め込むことが多くなった結果、知覚皮弁が使用頻度は減少した。しかし、埋め込み型知覚皮弁において、少なくとも皮弁の表面までは再生神経は到達する。本研究では、埋め込み型皮弁の知覚化が皮膚知覚回復向上に寄与するかを検討する。さらに、末梢神経再生を促進する脂肪組織由来間葉系幹細胞移植を併用することで、柔らかく知覚も兼ね備えた乳房の再建を目指す。
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研究成果の概要 |
乳房再建術において、皮膚温存乳房切除(SSM)や乳輪乳頭温存乳房切除(NSM)における知覚皮弁の有用性は不透明である。本研究では、ラット背部皮膚知覚皮弁モデルを用いて、知覚皮弁がSSMやNSM後の皮膚知覚回復において有用か検討した。ラットの背部皮神経をTh13の左内側枝のみ残して全て切除することで、ラット背部に皮膚無知覚領域に囲まれた知覚領域を作成し、知覚領域を島状皮弁として挙上した後、皮下へ埋め込んだモデルを作成した。術後、皮下へ埋め込んだ皮弁周囲には知覚域が再生し、その範囲内には神経線維が再生していた。 これらの結果は、SSMやNSM後において知覚皮弁が有用である可能性を示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乳房再建術においては、審美的な結果だけでなく、感覚機能も術後QOLのために重要である。知覚皮弁は、皮島が大きく露出する従来型乳房切除(CM)後の再建においてその有用性が報告されているが、皮膚温存乳房切除術(SSM)や乳頭温存乳房切除術(NSM)における有用性は不透明でであった。本研究の結果は、SSMやNSM後においても、CM後と同様に再建乳房の知覚障害の改善に知覚皮弁の利用が有効である可能性を示唆している。埋込み型知覚皮弁による乳房再建は、現在確立した治療法の存在しないSSM、NSM後の感覚障害に対する治療の選択肢となる可能性があると考えられた。
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