研究課題/領域番号 |
19K10053
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
青山 絵理子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10432650)
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研究分担者 |
滝川 正春 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (20112063)
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90221936)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | CD302 / osteoblast / fibronectin / adhesion / apoptosis / 細胞接着 / 細胞死 / 一次繊毛 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 軟骨細胞 / アポトーシス / osteoclast / chondrocyte / actin / SHP2 / C type lectin receptor |
研究開始時の研究の概要 |
我々は細胞膜タンパク質の一種であるCD302が骨吸収細胞である破骨細胞の分化過程において必須の役割を果たす可能性を見いだしつつある。そこで本研究では、まず最初に破骨細胞においてもCD302が発現し、機能することを確認し、CD302の細胞内シグナル伝達経路を解明することで他の細胞機能制御因子との相互作用の可能性を探る。また、骨・軟骨系細胞で高発現し、多彩な機能を発揮するCCN2がCD302の機能を発揮するうえで何らかの役割を担っているのではないかという可能性についても調べる。さらに、他の骨・軟骨系の組織・細胞でのCD302の発現および機能についても明らかにする。
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研究実績の概要 |
レクチン様ドメインを有するC型レクチン受容体の一種であるCD302の骨芽細胞における機能について明らかにするために、まず骨芽細胞系の細胞株MC3T3-E1細胞を用いて分化誘導培養を行い、分化初期である増殖期においてCD302の発現がやや上昇することを見いだした。また、細胞密度とCD302の発現の関連を調べたところ、細胞間接触と正の相関を示すことが分かった。さらに、CD302の発現を抑制したところ、細胞数が減少し、caspase3/7の活性上昇が見られた。同様に、CD302の発現抑制は細胞遊走も抑制した。これまでの結果はCD302が細胞接着および生存維持に関与していることを示していることから、接着や生存に関わる細胞内シグナル伝達因子であるFAKおよびAktについて解析したところ、CD302の発現をノックダウンした細胞ではこの両者のリン酸化が低下することも分かった。この結果はCD302が細胞接着因子と何らかの関連を有している可能性を示している。そこで、ファイブロネクチンで固相化することで培養用プレートの細胞接着性を上昇させるとCD302の発現抑制による細胞死が抑制された。これらのことからCD302はファイブロネクチンを介した細胞接着において重要な役割を果たしており、生存維持や遊走を制御する分子の一つであることが明らかになった。 さらにCD302の作用機序について明らかにするためデータベースを用いてCD302の関連分子を探索したところ、ARL13Bと結合する可能性があることが分かった。ARL13Bは一次繊毛を形成する因子の一つであることからCD302と一次繊毛形成との関係を検証するため免疫染色を行った。その結果、一次繊毛の基底部にCD302の集積が見られた。このことからCD302は一次繊毛の形成に何らかの役割を担っている可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オーファンレセプターである膜たんぱく質CD302の骨芽細胞における発現および骨芽細胞分化に伴う発現変化、さらにその細胞生物学的な機能について明らかにすることができた。しかし、講義の感染症対策や実験室の移設などに予想以上に時間がかかったため、CD302の作用機序および細胞内発現分布や関連分子については十分に明らかになっていない。
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今後の研究の推進方策 |
CD302と一次繊毛形成との関係を検証するため免疫染色を行った結果、一次繊毛の基底部にCD302の集積が見られた。しかし、siRNAを用いた一時的なノックダウン実験では細胞ごとにCD302の発現抑制の程度が異なっているためか明確な結果が得られにくいことから、レンチウイルスを用いて恒常的にCD302の発現が低下した細胞株を作製し、CD302の細胞内発現分布および分化誘導時における機能について解析する。
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