研究課題/領域番号 |
19K10101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
朔 敬 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 客員教授 (40145264)
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研究分担者 |
北河 憲雄 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (40628517)
阿部 達也 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70634856)
吉本 尚平 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (70780188)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 口腔がん / 細胞死 / 細胞競合 / 扁平上皮癌 / 扁平苔癬 / 異角化 / 循環不全 / 酸化ストレス / 出血 / 前癌病変 / 上皮内癌 / 乳頭腫 / 浸潤増殖 / 浸潤 / 側方浸潤 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔の扁平上皮癌が非癌粘膜上皮組織との間に界面を形成することは病理組織学的によく認知されているが、その界面での癌-非癌両細胞間のクロストークに関しては不明である。本研究課題では、近年注目の細胞生物学的主題「細胞競合」をヒト疾病に初めて適用し、(1)口腔扁平上皮癌とくに上皮内癌の癌-非癌境界面に細胞競合が惹起されて細胞死が出現する現場を組織レベルで確定し、(2)その細胞死機序を形態学と網羅的プロテオーム解析で相互に検討して、(3)ヒト口腔癌細胞株を用いた細胞競合モデルの作製による試験管内実験で細胞競合とその細胞死誘導に関与する重要分子を特定し、それらの機能と細胞競合における役割を検索する。
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研究成果の概要 |
口腔扁平上皮癌と非癌粘膜上皮組織の界面に細胞死が出現することを病理組織学的に見出していたので、同界面で細胞競合現象が惹起されているという仮説のもとに浸潤界面における細胞死の成立機序とその意義を形態学的・機能的に解析した。扁平上皮癌細胞がRac1依存的に同種癌アポトーシス死細胞を貪食して活性化し、癌細胞浸潤遊走先端に形成される糸状・葉状仮足形成にLAD1がアクチン線維とともに関与して側方への水平細胞運動を促進することを明らかにした。側方浸潤界面に出現する硝子体は口腔扁平苔癬のシバット小体と同様に異角化経路による細胞死の表現である可能性、口腔細胞診で異角化所見を診断指標とすることの有用性も示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞競合で生じる細胞死の分子機序の一つとして、扁平上皮癌死細胞を同種癌細胞がRac1依存的に貪食して癌細胞が活性化することを明らかにしたが、この死細胞貪食機序が制癌対策に応用できる可能性を見出した。浸潤界面で癌細胞に高発現するLAD1がアクチン線維と共同して仮足形成に関与するすることが判明したので、LAD1の機能を消失させることによって、癌細胞の浸潤を抑制するという抗癌対応の可能性を示しえた。さらに、浸潤界面における硝子体出現が異角化現象による新たな細胞死経路であることを明らかにし、細胞死研究に新たな方向性を示し、細胞診の臨床現場で異角化所見を悪性判定指標とすることの有用性を提唱できた。
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