研究課題/領域番号 |
19K10154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鵜飼 孝 長崎大学, 病院(歯学系), 教授 (20295091)
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研究分担者 |
吉村 篤利 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (70253680)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | HMGB-1 / 破骨細胞 / 外傷性咬合 / 破骨細胞前駆細胞 / 頭蓋骨 / HMGB1 / 骨細胞 / マウス / 咬合性外傷 / 骨吸収 / 歯周炎 |
研究開始時の研究の概要 |
歯に外傷性咬合を加えると根分岐部に骨吸収が早期に起こることから、根分岐部は破骨細胞形成が起こりやすい環境であると考えた。歯根膜は常に破骨細胞分化誘導因子(RANKL)を発現しており、歯根膜には RANKL 刺激を受けた細胞前駆細胞が存在していると考えられる。急速な破骨細胞形成にこの細胞が関与しているのではないかと考えた。この細胞を明らかにするとともに、歯根膜の変性に伴い細胞から放出される High Mobility Group Box 1の骨吸収への関与を免疫組織学的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
外傷性咬合による骨吸収へのHigh Mobility Group Box1(HMGB1)の影響を検討した。以前の研究で使用したマウス臼歯咬合面にワイヤーを接着することで外傷性咬合を付与して、根間中隔部に骨吸収を惹起する骨吸収モデルを用いた。これまでにこのモデルにおいて外傷力を付与することで根分岐部歯根膜に免疫組織学的にHMGB1の発現が増加し、根間中隔部分に破骨細胞が出現することを報告している。このモデルにおいてHMGB-1陽性細胞の増加した根間中隔頂部を経時的に組織学的に観察すると、根間中隔の骨細胞の変性や消失が認められ、その周囲にHMGB-1陽性像が認められた。歯根膜や、根間中隔の骨細胞ではアポトーシスのマーカーの一つであるTUNEL陽性像が確認された。以前はHMGB-1はネクローシスの細胞から放出されるがアポトーシスの細胞からは放出されないと言われていたが、最近の報告ではアポトーシスの細胞からも放出することが報告されている。今回のモデルではアポトーシスした細胞からの放出の可能性も考えられた。また、HMGB-1陽性像の近くで破骨細胞が形成されるのが確認されている。HMGB-1の働きを抑制するために抗HMGB-1抗体を全身投与した後に同様に外傷性咬合を付与した場合では、抗体を投与しないときと比較して根間中隔での破骨細胞の出現数は減少した。このことで、外傷性咬合による骨吸収にHMGB-1が促進的に関与していることが示唆された。また面白いことにこの抗体を投与した群では根間中隔頂部に見られた骨細胞の存在しない骨小腔も少なくなっており、HMGB1の働きが抑制されるとアポトーシスなどで骨細胞が消失すること自体が抑制されているように思われる。このメカニズムは不明だがHMGB-1は外傷咬合のような機械的刺激による根間中隔の骨細胞の消失に何らかの関連がある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
4年目の大学院生を指導しながら一緒に研究を行っていたが、その大学院生の精神ならびに体調不良もあり、研究に対する意欲をなくしてしまい、研究を続けられなくなり大学院中退となった。現在は研究代表者のみで研究を継続しており、思うように進んでいない。現在は主にこれまでに作製していた組織標本の解析や新たな染色を行う中で、新しい知見があり、その解析を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後はHMGB-1とアポトーシスの関連に着目して、骨細胞のアポトーシスと破骨細胞形成との関連を検討していく予定である。そのため骨細胞のアポトーシスに伴うHMGB-1の放出やHMGB-1のアポトーシスなどの骨細胞消失への関与を検討する予定である。残りの1年である上に研究代表者のみでの研究となるので得られる結果には限りがあると思われるが、まずは現在使用している外傷性咬合モデルを用いて、経時的な根間中隔部分の骨細胞の消失した骨小腔の数の計測やTUNEL陽性像の発現変化を組織学的に検討していく予定である。
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