研究課題/領域番号 |
19K10317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
片山 郁夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80295089)
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研究分担者 |
佛坂 由可 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10244089)
佐々木 美穂 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (10437874)
田代 茂樹 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20300882)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | cPLA2 / 電離放射線 / 細胞生存シグナル / 細胞死シグナル / 細胞質型ホスホリパーゼA2 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、cPLA2遺伝子を欠失したマウス及びこのマウスから得られた細胞を使用し、放射線照射を行なった際の「細胞生存シグナル」と「細胞死シグナル」におけるcPLA2の役割を明らかにする。これにより、「細胞生存シグナル」と「細胞死シグナル」のバランスによって決定される細胞の生死のメカニズムを解明したい。 本研究により得られた結果から、cPLA2が放射線治療における有用な標的遺伝子の1つである可能性を示したいと考えている。
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研究実績の概要 |
本研究では、細胞に放射線を照射した際に起こる「細胞死シグナル」および「細胞生存シグナル」へのcPLA2の関与を検討した。この実験にはcPLA2WTマウスおよびcPLA2KOマウスの肺から分離したcPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞を使用した。これまでに以下の結果を得ている。 (1)cPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の細胞に放射線を照射した際の細胞の生死を観察したところ、cPLA2(+/+)では細胞死がほとんど起こらなかったが、cPLA2(-/-)では約70%に細胞死が起こった。このことから、cPLA2は放射線を照射した際の「細胞死シグナル」に抑制的に機能すると考えられる。さらに、放射線照射によるATMのリン酸化やH2AXのリン酸化について検討したところ、cPLA2(-/-)ではcPLA2(+/+)と比較してATMのリン酸化やH2AXのリン酸化が多く起こっていた。このことからも、cPLA2の「細胞死シグナル」への関与が示唆された。 (2)放射線により活性化されたリン酸化型のcPLA2は核周辺に移行することが観察された。このことから、cPLA2は放射線によって活性化され、核周辺で機能することが示唆された。 (3)細胞に放射線を照射した際の「細胞生存シグナル」の起点となるEGFRの活性化を検討したところ、cPLA2(-/-)の細胞はcPLA2(+/+)の細胞と比較して、早期にEGFRの活性化が起こることがわかった。このことは、放射線による「細胞生存シグナル」に対してcPLA2は抑制的に関与しているのではないかということを示している。 以上のことから、cPLA2は核周辺で機能し、「細胞死シグナル」および「細胞生存シグナル」の両方に対して抑制的に機能していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞に放射線を照射した際の「細胞生存シグナル」において、cPLA2が関与していることを示すことができたが、EGFRの下流の遺伝子の解析についてはまだ途中でありやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は「細胞死シグナル」および「細胞生存シグナル」のさらに下流のシグナルについて検討を行い、cPLA2の関与を明らかにして行きたい。
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