研究課題
基盤研究(C)
本研究は、イメージングプレート(IP)を用いた解析で、歯における福島第一原発事故由来の放射性物質であるCs-137およびSr-90の濃度を推計するプロトコールを確立することである。歯を一種の生体線量記録装置として位置づけ、対象となる核種が限定されている状況を最大限活用して、適切に遮蔽を活用することでIP法でも物理化学定量法でも実現が困難である1本の歯ごとの原発由来各種の濃度推計を行うことを目指すものである。
本研究ではIPの特性を利用し、個々の歯単位でCs-137およびSr-90濃度を明らかにすることを目的とする。これらの核種のβ線の最大崩壊エネルギーに違いがあることに着目し、その差を利用してIPへの放射線を適切に遮断する。その遮蔽条件のもと、標準試料による検討で、K-40、Cs-137についてはほぼ遮蔽されIPに到達しなかったが、Sr-90(Y-90)については遮蔽されるものの、厚さに依存してIPに到達していることが観察され、適切な遮蔽により試料中のSr-90の成分を抽出でき、試料中のSr-90については含有量を推定できる可能性が示唆された。
試料中に含有される放射性物質をIPを用いてスクリーニングすることが可能となった。標準試料の混合試料において、Sr-90の子孫核種であるY-90のβ線のみ透過するように1.5mm厚さのプラスティック板で遮蔽することで試料中のSr-90を検出できることが明らかとなった。今後は検出限界を得るためのカットオフ値を試料の特性ごとに明らかにすることで不要な社会不安の払拭に役に立てることができる。今回、標準試料で得られた自己吸収曲線と、実際に高線量地帯で棲息していた被災動物の歯のそれとではほぼ同じ傾向の曲線が得られており、標準試料を用いて実際の生物試料でのアルゴリズムを確立できるものと考えている。
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