研究課題/領域番号 |
19K10686
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
藤本 秀子 鳥取大学, 医学部, 特任准教授 (30722798)
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研究分担者 |
野間 久史 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (70633486)
飯野 守男 鳥取大学, 医学部, 教授 (80362466)
野崎 一徳 大阪大学, 歯学部附属病院, 准教授 (40379110)
木村 かおり 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (80574011)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 歯槽骨画像 / 類似度 / 個人識別 / 自動鑑定 / 人工知能 / 死後画像 / 年齢推定 / 人類学 / 生前画像 / 歯周疾患 / 金属アーチファクト低減ソフト / ランドマーク法 / 歯科自動鑑定 / 画像認識 / 歯科パノラマ画像 / 照合システム / 行方不明者捜索 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究のIDOL法は、生前の歯科パノラマX線画像と、死後のCT画像を用いた個人識別法で、AI(人工知能)を使用した自動画像描出を活用し、個人の座標データを用いて、算出する研究である。本法は、多くの対照資料の中から同一人と思われる候補者を全体の数%にまで絞り込むことができ、また、1対1での照合率も算定できる。 本法の実装により、身元確認作業の人件費が削減でき、国際社会で運用可能な汎用性と再現性のある個人識別法を標準化することが可能となる。具体的には、大規模災害時、又は平時の行方不明者捜索を対象とする。将来、Jaw Fingerprintingという新しい概念の一歩となることが期待できる。
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研究実績の概要 |
歯槽骨画像による個人識別法の実装のために、本年度はシステムの確立を行い、さらに個人識別法の一つである年齢推定の検討を行った。 研究分担者の木村先生より、新たにパノラマ画像411例、死後CT画像13例の提供を受け、若年層をベースにした各年台間の類似度検査により年齢推定を行った。現在までに提供された画像総数842画像中259画像を使用した。結果、40歳台、50歳台ではばらつきが生じたが、これまで先行研究のなかった60歳代以上の現代日本人の歯槽骨吸収の経年変化が定量化され、本法により年齢推定が可能であることが示唆された。 深層学習を使用した特徴点自動検出の検討では、パノラマ画像213例を使用し、TensorFlow2により一定の結果は得られたが、検出能力が低かったために、Google Cloud Platformを使用して検討を進めたところ、課金システムにより、経費がかさんだため、途中断念した。今後は、課金のないPyTorchを使用して検討を進める予定である。今後の歯周病画像検査法への応用も見据え、日本歯科人工知能研究会に入会し、現在までの深層学習結果について口演発表を行った。 本研究の柱である、歯槽骨画像による個人識別法をまとめて、国際法医放射線画像学会で口演発表した。 これまでの研究をまとめ、Forensic Science International に論文を投稿し、採択された。この中では、データをさらに再検討して得た識別能力を紹介した。カットオフ値4.978で本人拒否率はなく、ROCcurveは0.9769となり、さらに良い識別能力を示した。年齢推定については、日本法科学技術学会および法医画像勉強会で検討中の内容を発表した。 2019年と2021年に特許申請を行ったことから、人工知能の開発も含め、本研究を開始してからこれまでに企業13社と面談を行い、共同研究の働きかけを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他機関からのデータ提供には費用がかさむことが判明し、臨床データを新たに得ることを断念した。 しかし、すでに提供先としてお願いしていた島根大学から新たに加えられたデータを解析することにより、年齢推定については、大きな成果を得ることができ、個人識別法としての一定の成果目標に近づいていると考えている。 人工知能開発を主とした企業との面談では、経費負担の点で理解を得ることができず、また面談企業とのやり取りに時間を費やした。人工知能の研究は思うように進まなかったが、Pytorchによる試行により、新たな研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
個人識別法として、1対1の個人識別能力と、人類学的な側面から年齢推定という個人識別法の二つの要素を確立することを目指す。 そのためには、現在までに提供された倫理審査の通ったデータを検討し、本法の性能の向上を図る予定である。 PyTorchによりYOLOを使用し、サイクルGANへの試みも検討する予定である。
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