研究課題/領域番号 |
19K11652
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター (2021-2022) 東京薬科大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
水野 晃治 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 研究生 (10551046)
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研究分担者 |
坂上 弘明 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (80734855)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 中枢神経 / 皮膚 / UVA / 光刺激 / アクネ / 鬱 / 精神的ストレス / 神経伝達物質 / ざ瘡 / うつ / 紫外線 / 日光 / ドパミン / 太陽光 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、うつ病の治療法の一つとして人工太陽光を用いた光線治療が行われているが、その治療メカニズムは不明である。一方、一般的に晴れた日は清々しい気分になるなど、天候はヒトの精神的健康に大きく影響することが知られている。本研究は、太陽光に含まれる各波長光線が情動行動すなわち精神的健康に及ぼす影響を明らかにし、さらに、光が中枢神経に影響を与えるメカニズムの解明を目指すものである。本研究により得られる知見は、光による精神的健康増進法の確立のみならず、うつ病をはじめとする精神神経疾患の新たな治療戦略の開発に繋がることが期待される。
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研究実績の概要 |
近年、厚生労働省より、豪雪地 および寒冷地域においてうつ病罹患率との相関性が認められることが報告されており、天候は情動へ影響することが示唆されている。晴れた日は気分が晴れやかであり、曇りや雨の日は気分が塞がるというように天候はヒトの精神的健康に大きく影響する因子の一つである。実際に、うつ病の治療法として人工太陽光を用いた光線治療が行われている。本研究では、光による精神的健康増進法の確立を目指し、皮膚-中枢神経間相互作用を明らかにすることを目的としている。令和元年度から令和2年度までに、動物実験を行い、鬱様モデル動物の作成、マイクロダイアリシス法とLC-MS分析法による脳内神経物質の解析法を確立し、マウス背部へのUVA照射によりマウス側坐核においてL-dopaが増加することを見出し、光刺激による皮膚-中枢神経相互作用の一部を明らかにした。また、令和3年度においては、ざ瘡患者における精神的ストレスと皮膚内神経伝達物質の相関性について解析を行い、精神的ストレスを有している患者の毛包内容物において、ノルアドレナリンの代謝物であるノルメタネフリンが有意に増加しており、精神的ストレス時に皮膚内神経伝達物質の変動が起こることを明らかにした。令和4年度においては、ストレス下において末梢で増加するノルアドレナリンの皮膚構成細胞である表皮細胞および脂腺細胞に対する作用について検討した。その結果、ノルアドレナリンは、表皮細胞(HaCaT)のCa誘導性分化におけるケラチン1の遺伝子発現促進した。すなわちノルアドレナリンは表皮細胞の分化を促進することを見出した。また、ノルアドレナリンは脂腺細胞の細胞内脂肪滴の形成を促進した。以上の研究成果により、皮膚光刺激による中枢神経作用、および、精神的ストレスによる皮膚組織の病態メカニズムの一端が明らかとなり、皮膚-中枢神経間相互作用の理解がより深まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、動物を用いて光刺激による報酬系への影響をより詳細に検討する予定であった。また、神経細胞を用いて皮膚細胞-神経細胞間相互作用を検討する予定であったが、前職において、主たる職である薬剤師業務にエフォートを多く割かれてしまったため、計画通りに動物実験を行うことが出来なかった。代替案として令和3年度の知見を広げるため、株化細胞を用いて、神経伝達物質の皮膚構成細胞に対する作用を検討した。一定の成果をあげることが出来たため、皮膚-中枢神経間相互作用の一端の理解を深めることが出来たため、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
東京薬科大学に異動し、研究にエフォートを注力出来る環境が整ったため、研究期間を1年延長した。この延長期間に、当初の予定であった、動物を用いた光刺激による報酬系への影響をより詳細に検討し、また、脊髄後根神経節(DRG)より単離した神経細胞を用いて皮膚細胞-神経細胞間相互作用を検討する。 具体的には、マウスの側坐核にプローブを留置し、背部光刺激による神経伝達物質の解析を続けて行う。また、中脳に6-OHDAをマイクロインジェクションすることにより、ドパミン神経を脱落させ、背部光刺激による側坐核でのL-DopaおよびDopamineの消失を確認する。 また、皮膚細胞とDRG由来神経細胞を共培養し、UVA刺激による相互作用を検討する。皮膚細胞に対し、UVAを照射し、培養上清をDRGに添加したときの細胞応答を検討するなど、皮膚-中枢神経間相互作用をin vivoおよびin vitroの側面から詳細に検討する。
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