研究課題/領域番号 |
19K11873
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
田中 清史 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20333445)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | リアルタイムシステム / 命令セット / 適応化 / FPGA / リアルタイムスケジューリング / IoT / リアルタイム / 組込み / スケジューリング |
研究開始時の研究の概要 |
汎用的な従来のCPUおよびOSを見直し,個々の機器に適応して必要最小限の機能と適切なスケジューリング機構を自動的に提供する適応化技術を研究する.開発期間を延長することなく電力およびコストの削減,実行効率向上を達成することで,今後のIoT時代における機器設計・開発の在り方を示す.本研究の成果となる設計開発技術はASICチップ製造に適用可能であるが,本研究では,即時適応化可能性を提供するために,ハードウェア論理を変更可能なFPGA (Field Programmable Gate Array) デバイスを対象とする.CPUとOSの一体化された適応化技術が本研究の特色である.
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研究実績の概要 |
本研究は,組込みアプリケーションの要求にしたがって必要最小構成のCPUおよびOSを自動生成する技術を研究し,IoT時代における機器開発の効率化,コスト削減,および性能向上を支援することを目的としている.2020年度以降は全体計画のうち,(6)適応化用CPUの詳細設計・開発,(7)CPU適応化ツールの実装,(8)適応化用OSの詳細設計・開発,(9)OS適応化ツールの実装,(10)適応化CPU・OSの評価,(11)適応化スケジューラの実装,および(12)適応化スケジューラのリアルタイム性評価について研究を進める計画であるが,このうち2022年度は主に昨年度から引き続き(11)と(12)を実施した. 項目(11)において,これまでに本研究で提案したタスクスケジューリングアルゴリズムに加え,優先度以外にタスクの重要度を導入した新たなアルゴリズムを提案してきたが,適応化スケジューラの対象の一つとして,実際のリアルタイム組込みOSであるFreeRTOSを対象として実装した.本実装はRTOSの既存のシステムコールのみを利用することで実現可能であることが特徴である.項目(12)として,本実装に関して実際のタスクセットによりリアルタイム性を実測した結果,シミュレーション上の結果とほぼ同一の結果が得られることがわかった. 項目(11),(12)に加え,将来の組込みシステムではマルチコアの利用が標準的になることを見越し,提案するリアルタイムタスクスケジューリングアルゴリズムのマルチコア拡張を行った.併せて,提案するリアルタイムスケジューリングアルゴリズムによるリアルタイム性の静的見積を可能とするための応答時間解析手法を提案し,アルゴリズムの詳細とともにまとめてジャーナル論文として掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】で述べた通り,研究実施計画として挙げた項目(11),および(12)について達成した. 項目(11)に関して,これまでに本研究で提案したタスクスケジューリングアルゴリズムに加え,優先度以外にタスクの重要度を導入した新たなアルゴリズムを提案してきたが,適応化スケジューラの対象の一つとして,実際のリアルタイム組込みOSであるFreeRTOSを対象として実装した.本実装はRTOSの既存のシステムコールのみを利用することで実現可能であることが特徴である.このことから,検証済みのRTOSに対して脆弱性を付加することなく提案スケジューリングが利用可能である. 項目(12)として,本実装に関して実プログラムからなるタスクセットによりリアルタイム性を実測した結果,前年度までに行ってきたシミュレーション上の結果とほぼ同一の結果が得られることがわかった.このことから,実装による実行オーバヘッドが極めて小さく,システム性能に負の影響を与えないことが明らかになった. 将来の組込みシステムではマルチコアの利用が標準的になることを見越し,提案するリアルタイムタスクスケジューリングアルゴリズムのマルチコア拡張を行った.研究開始当初はマルチコアを対象としたスケジューリングアルゴリズムの構築は予定していなかったが,研究が順調に進み,将来を見据えた発展の方向に展開できたいえる.さらにスケジューリングアルゴリズムによるリアルタイム性の静的見積を可能とするための応答時間解析手法を提案し,アルゴリズムの詳細とともにまとめてジャーナル論文として掲載された. 上記の内容に関してまとめ,ジャーナル論文1件の掲載に至った.以上から,当初の計画通り遂行し,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,リアルタイムタスクスケジューリングの研究を継続し,リアルタイム性を向上させる新たなアルゴリズムや,マルチコアに対応したアルゴリズムの改良について研究していく.また,組込み/IoTシステム上で機械学習アプリケーションの利用が広がっていることを考慮し,機械学習タスクの性質を利用するスケジューリングアルゴリズムを研究していく. 評価において得られた結果をまとめ,国際会議およびジャーナル論文として発表していく予定である.
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