研究課題/領域番号 |
19K11965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60070:情報セキュリティ関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山口 真悟 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00294653)
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研究分担者 |
ANUARUDDIN MOHD 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (80804492)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ボットネット / IoT / セキュリティ / マルウェア / ワーム / ペトリネット / マルチエージェント / シミュレーション / モデリング / セキュリティ技術 / エージェント |
研究開始時の研究の概要 |
IoT機器が「悪玉」ソフトウェアに乗っ取られ、大規模なサイバー攻撃の踏み台にされる事案が多数発生している。IoT機器を速やかに更新する必要があるが、IoT機器は爆発的に増えているため、人海戦術での対応には限界がある。そこで本研究では、攻撃者がサイバー攻撃に「悪玉」ソフトウェアを使うやり方に倣って、防御者がサイバー攻撃からの防御に「善玉」ソフトウェアを使えるようにして防御能力を飛躍的に向上させることを目指す。
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研究実績の概要 |
ボットネット防衛システムはIoTシステム上に自ら善玉ボットネットを構築し、それを用いて悪玉ボットネットを駆除するサイバーセキュリティシステムである。善玉ボットネットはIoTシステム上に自律的に拡散するため、悪玉ボットネットに対する防衛力を飛躍的に向上させることが期待できる。令和4年度はボットネット防衛システムの効果をさらに高める3つの機能について検討した。 一つ目は悪玉ボットネットの感染状況に合わせて善玉ボットネットを構築する機能である。ゾーニングの概念を導入し、ゾーンごとに適用可能な3つの戦術を提案した。提案した機能は、感染したIoTデバイスの数を約30%削減できることがわかった。 二つ目の機能は善玉ボットネットを指揮統制する機能である。観測性・制御性の概念を導入し、善玉ボットネットを活用して観測性・制御性を高める仕組みを提案した。また、指揮統制の基本戦略として、撤退戦略を提案した。提案した機能は善玉ボットネットの感染力が十分である限り、悪玉ボットを一掃する一方、残存する善玉ボットを1%以下にまで減少させることがわかった。 三つ目は善玉ボットネットが周囲の状況に合わせて自ら感染力を変える機能である。善玉ボットの寿命を世代ごとに動的に変える仕組みを導入し、善玉ボットネットが過剰に増殖する方法を明らかにした。寿命を制御するパラメータを工夫することで、善玉ボットネットの数を約80%削減できることを確認した。 また悪玉ボットネットの代表であるMiraiのソースコードについて解明を進め、その感染現象を実システム上に再現することができるようになった。 以上の成果について、学術論文3編、国際会議6件を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、IoTボットネットを自己複製可能なエージェントと捉え、エージェント指向ペトリネットを用いて、その動作を表す数理モデルを開発した。ま た、そのシミュレーションによりIoTボットネットによるサイバー攻撃を定量的に分析した。令和2年度は善玉ボットネットを設計し、その管理と運用法を明ら かにした。また、それを実行するシステムとして「ボットネット防衛システム(Botnet Defense System; BDS)」と呼ぶ新しいサイバーセキュリティシステムの コンセプトとシステム構成を提案した。令和3年度はボットネット防衛システムのプロトタイプを実装した。十分な量の部品を調達できなかったため、プロトタ イプは小規模になったが、その動作を確認し、実証やチューニングの知見を得ることができた。令和4年度はボットネット防衛システムの効果をさらに高める3つの機能を開発し、その有効性を確かめた。さらに悪玉ボットネットの代表であるMiraiのソースコードについて解明を進め、その感染現象を実システム上に再現することを可能にした。以上のことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、令和3年度に試作したプロトタイプと令和4年度に解明したMiraiの実装技術を組み合わせて、ボットネット防衛システムを実装し、その効果を確認する。その結果に基づき、システムのチューニングを行い、システムを完成させる。最後に成果を発信する。
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