研究課題/領域番号 |
19K12251
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宇佐川 毅 熊本大学, 事務局, 理事 (30160229)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 教育ビックデータ / 学習支援システム / ラーニングア ナリティクス / プロセスマイニング / 国際共同研究 / オンライン学習環境 / eラーニング / Moodle / ラーニングアナリティクス / 学習データマイニング / モンゴル / アフガニスタン / モンゴル国立大学 / 学習管理システム / 国際連携 |
研究開始時の研究の概要 |
高等教育機関で運用されている学習支援システムには、教育ビックデータと呼ぶにふさわしい膨大がデータが蓄積されており、その解析に基づき教材・教育手法の改善などへの応用が進んでいる。しかし、多くは講義が終了し成績が確定した後に解析しており、講義受講中の教育データに基づき学習者へのメンタリングや教授内容の動的な適応化という視点では、十分な活用がなされていないのが現状である。本研究では、同一科目における過去の学習履歴をテンプレートとし、受講中の学習者の履修状況を動的に推定することで、学習者を支援可能な“学習支援システム”の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
学習支援システム上の教育ビックデータを活用し、学習者個々人の修学状況の解析に基づく学習支援を目的として、令和4年度は以下の4つ項目について研究を行った。 まず、令和3年度に引き続き、コロナ禍の下での対面講義での感染拡大防止のため全学の講義室に導入された出席登録システムの記録、学習支援システムおよびポータルシステムのアクセスログ、遠隔講義やハイブリッド講義で使用しているzoomシステムのアクセスログの解析結果から、受講期間中の学生の修学活動を推測することで、学期中での学修支援の可能性を引き続き検討した。この結果と学修成果との相関については今後検討が必要であるもの、修学に困難を感じている可能性のある学生の自動検出の基礎的データとして利用できる可能性は一定確認できたが、教学IRとして利用を想定しており、一般公開することは想定していない。 次に、プロセスマイニング手法を基づき、学生の履修計画と実際の履修履歴、さらにはカリキュラムの設計方針との関係性について解析を試みた。この分野での先行研究の多くは、個別のケースを取り扱っているが、ここではセメスター単位での学生の履修行動を経時的に分析することで、インドネシア・スラバヤ工科大学の情報システムにおけるデータにおいて、修業年限内に卒業する者や、留年または退学する者を一定予測できることを確認し、その成果を学術論文としては発表した。 また、コロナ禍での学校閉鎖の解除の判断について、インドネシア・スラバヤ市におけるデータと各行政区の基本情報などを基にモデル化を行い、その判断基準や妥当性について検討した結果を、学会において口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で、遠隔講義が普及し、学修履歴として従来の学習支援システムや大学ポータルシステムのログデータに加え、zoomのログデータも利用可能なった。一方、感染状況に応じて大学として対面講義と遠隔講義を切り替えて講義を行っているため、季節性の要因に感染状況による講義形態の返還の影響が混在している状況となった。現状、まだ検討段階ではあるが、講義受講期間中に学修を継続することが困難を感じていると想定される学生個々人を抽出できる可能性も得られており、研究を進めているカリキュラム設計と学修成果との関連性などマクロな履歴データの活用と、出席や学習活動に伴うミクロな履歴データの活用を統合することを検討中である。得られた成果は、国際学会で4編の論文として発表した。また、2編論文を、国際誌に令和3年度中に投稿し、1編は年度内に受理され掲載料の支払いを行った(掲載は令和5年6月号の予定)、もう1篇は現在査読中である。 一方、海外で開催された国際学会には、遠隔での参加しかできず、他の研究者と意見交換をする機会が限られており、この点は研究を進める上で制約条件と感じることもある。 以上から、当初計画した内容について一定の成果を出しつつも、コロナ禍という環境の変化への対応を含めた追加テーマを含めて研究を実施しており、「概ね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を申請した2018年秋時点では、対面講義が原則であり、学習支援システムの利用は、講義中の資料提示や講義前後の自学自習やオンラインでの課題などに限定して、研究計画を考えていた。コロナ禍で、大学での学修環境が、日本国内のみならず国際共同研究先の大学でも大きく変化した。さらに、初等中等学校での教育環境にも大きな影響があり、インドネシアのスラバヤ市での学校閉鎖の解除のタイミングについて、時系列分析に基づくモデル化を行うなど、コロナ禍の下での学修環境・教育環境の確保や、学生支援の手法についても、研究テーマを一部変更する形で、研究を進めてきた。国内では、2023年度からは大学における対面講義が中心となると想定されるため、当初の研究計画に沿った研究を進めることが一定可能であると想定される一方、過去3年間のコロナ禍の直接・間接の影響で学修に困難を感じる学生も想定されるため、これらについても、研究を推進していきたい。
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