研究課題/領域番号 |
19K12716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 俊哉 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 助教 (70311545)
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研究分担者 |
山本 尭 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課(本館), 学芸員 (90821108)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 復古編 / 小篆 / 增修復古篇 / 復古篇 / 説文解字五音韻譜 / 五音韻譜 / 金石学 |
研究開始時の研究の概要 |
漢代に編まれた、小篆を見出し字とする字書『説文解字』は、正字政策、および、古漢字研究の基盤とされてきた。甲骨文字の発見以降、その内容は再検討されているが、歴史的な経緯のため、明朝体のデザイン根拠を説文小篆に求めるような状況は現在でも存在する。 しかしながら、北宋初期の勅撰字書である大徐本説文解字が成立した後、小学書の小篆字形が全て説文に従うとは限らず、異なる字形もしばしば見える。この字形が、大徐以前の説文(たとえば唐代の李陽冰刊訂説文など)に由来するのか、宋代に発展した金石学に由来するのかを明らかにするため、宋元代の説文・説文以外小学書・金石学文献に見える小篆字形の対比データベースを作成する。
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研究成果の概要 |
宋元代に広く行われた復古編類のうち、復古編・增修復古編・續復古編の篆文字形を切り出し、宋本説文解字および宋本五音韻譜との字形対照表を作成した。また、北宋成立した考古圖の釈字資料である考古圖釋文の篆文字形を切り出し、隷定字、反切、器物名をデジタルテキスト化した。また、字形集合として説文を想定していた小篆検索ツールを改修し、説文以外の字形集合に対応させた。これらによって復古編類の篆文字形の正誤規準を統計的に調査すると、石刻資料の影響は散発的に見えるが、何らかの説文旧本や青銅器に見える字形を規範とするものではなく、大徐本の説解に見える六書に基づいて大徐本の小篆字形を改めたものであることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
秦石刻に見える小篆字形と説文解字に見える小篆字形が異なることは既に唐代に認識され、これを修正する改訂も行われていたと思われるが、大徐本成立によって説文学の上ではその改訂の多くは排除された。宋元代の金石学者は先秦の古漢字字形と説文に見える小篆の違いは認識していたと思われるが、復古編類の正誤規準を見る限り、説文に基づいた文字学は金文研究の知見を加える方向には進まず、むしろ大徐本が伝える六書を優先して説文に見える小篆字形までも相対化する方向の文字学が分岐したように思われる。 また字形の揺れの調査の副次的成果として、行款が全く異なる宋刊大徐本と宋刊五音韻譜の祖本が共有されている可能性が見つかった。
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