研究課題/領域番号 |
19K12806
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
小山 義之 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 客員研究員 (00162090)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 細胞外小胞 / ガン免疫治療 / 微生物抗原 / インターフェロン / 免疫治療 / 抗腫瘍免疫 / 樹状細胞 / 抗体産生 / エクソソーム / EV / 人工ネオアンティジェン / 結核菌抗原 / 人工ネオエピトープ / 疑似感染状態 / 抗腫瘍免疫治療 / 結核菌 |
研究開始時の研究の概要 |
結核菌抗原などの抗原性の高い微生物抗原の遺伝子により培養細胞をトランスフォームして擬似感染状態を作成し、微生物抗原エピトープを「人工ネオエピトープ」として提示したエクソソームを調製する条件を確立する。 得られた人工ネオエピトープ提示エクソソームを培養樹状細胞に加え、その活性化機能を評価する。 効率よく樹状細胞を活性化したエクソソームを担癌マウスに投与し、その抗腫瘍効果を調べる。また、エクソソームで活性化した培養樹状細胞を投与することによる抗腫瘍効果も調べ、免疫応答のメカニズムを詳しく検討する。そして、安全性、安定性などを総合的に評価してヒト臨床研究に向けての準備を行う。
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研究実績の概要 |
腫瘍抗原は一般に免疫原性が低く、抗腫瘍免疫が誘導されにくいことが腫瘍免疫治療の大きな障壁となっている。一方生体ではウイルス感染に対して細胞性免疫が効率よく惹起される。これは、「強い微生物抗原の存在」とともに微生物共通分子がパターン認識されて「自然免疫系サイトカインの分泌」が亢進し、免疫細胞を活性化するためと考えられる。 一部の腫瘍細胞は、抗原性の高い腫瘍特異的ネオ抗原を持ち、抗体医薬などを用いた免疫治療において高い治癒効果が得られている。このことからも強い抗原の存在が重要であることが示唆される。しかし、多くの患者の腫瘍細胞はこのようなネオ抗原を持たない。 我々は結核菌抗原、ESAT-6の遺伝子を腫瘍細胞に導入し、「人工ネオ抗原」として発現させることで抗腫瘍細胞性免疫が誘導され、高い抗腫瘍効果が得られることを確認し報告してきた。遺伝子導入された腫瘍細胞は、ESAT-6抗原を含む細胞外小胞(以下"ESAT-EV")を分泌し、これを捕食した樹状細胞が「危険信号」と認識して成熟し、抗腫瘍細胞性免疫を誘導すると考えた。 この機序を確認するために、培養細胞にESAT-6遺伝子を導入して"ESAT-EV"を調製し、これが培養樹状細胞を成熟・活性化させる機能を持つこと、また、担癌マウスに投与すると高い抗腫瘍効果を導くことを確認した。 免疫を活性化するもう一つの重要な因子である自然免疫系サイトカインの分泌を促進するために、インターフェロン誘導機能を持ったアデノウイルス由来の低分子核酸、VA-RNAを内包する細胞外小胞(VA-RNA-EV)を調製した。VA-RNA-EVを培養細胞に加えると、高いI型インターフェロンの分泌が認められた。またVA-RNA-EVを担癌モデルマウスに投与すると顕著な抗腫瘍効果が観察され、新しい免疫誘導製剤としての可能性が見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫細胞を十分に活性化し、強い抗腫瘍細胞性免疫を誘導するためには、強い抗原の存在だけでなく、インターフェロン(IFN)などのサイトカインを分泌させることが重要であると考えた。 これまで結核菌抗原、ESAT-6の遺伝子を腫瘍細胞に導入し、「人工ネオ抗原」として発現させ、抗腫瘍免疫を活性化する手法を考案し、その効果を確認して報告してきた。 もう一つの重要な因子である自然免疫系サイトカインの分泌を誘導するシステムを新たに考案した。インターフェロン誘導機能を持ったアデノウイルス由来の低分子核酸、VA-RNAに着目し、これを内包する細胞外小胞(VA-RNA-EV)を調製した。 VA-RNA-EVを培養細胞に加えると、インターフェロンの分泌が観察された。また、"VA-RNA-EV"は担癌マウスにおいて高い抗腫瘍効果を導くことを本研究では新たに見いだした。 「人工ネオ抗原」とVA-RNAとの組み合わせによってより高い抗腫瘍効果が導き出せることを確認し、現在その機序などを詳しく検討している。これらは新しい発想に基づく、安全性の高い細胞外小胞製剤として期待されるものである。
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今後の研究の推進方策 |
エクソソームなどの細胞外小胞はその表面にホスファチジルセリンが存在するため、受容体Tim-4を介してマクロファージ、樹状細胞などの抗原提示細胞に効率よく取り込まれる。"VA-RNA-EV"がマクロファージや樹状細胞に取り込まれてI型インターフェロンの分泌を誘導することを確認した。 一方、VA-RNAにはVA-RNA I とVA-RNA IIの二種類があり、それぞれ異なる様々な生物機能を持つ。今後は抗腫瘍活性の機序をより明らかにするために、VA-RNA遺伝子を改良し、特定のRNAだけを発現させた"VA-RNA-EV"調製し、これらを各種の培養細胞に加えて、その応答を詳しく検討する。さらに、VA-RNA遺伝子の導入効率を高めるために、これまで用いたプラスミドDNAの代わりにE1, E3領域を除去した非増殖型の組み替えアデノウイルスを用いて同様の実験を行い、より効果の高いシステムの構築を検討する。 良い結果の得られたものについては、担ガンマウスモデルを用いて"VA-RNA-EV"に対するin vivoでの免疫応答の挙動を調べ、効果の高い製剤の設計を行う。
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