研究課題/領域番号 |
19K12932
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 大阪経済大学 (2022) 上智大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
中村 信隆 大阪経済大学, 経営学部, 講師 (60823367)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 刑罰 / 応報 / 尊厳 / 平等 / 復讐 / 身体刑 / 修復的司法 / 表現的応報理論 / 残虐 / 死刑 / 自由刑 / 動物の尊厳 / 赦し / 対等性 / 自尊心 / 恥 / 応報的刑罰 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の課題は、被害者が加害者と対等な尊厳をもつことを表現するという応報的刑罰の機能に注目して刑罰を正当化する「表現的応報理論」の立場から、具体的にどのような刑罰が適切な刑罰として要請されるのかを哲学的に考察することである。本研究では、人間の尊厳の概念を明確化した上で、被害者の尊厳を表現する刑罰として、罰金刑や自由刑や死刑は適切なのか、身体刑は不適切なのか、あるいはそれ以外に何か適切な刑罰形態はないのかを考察する。
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研究成果の概要 |
本研究は、犯罪行為によって貶められた被害者の尊厳を表現するという観点から刑罰を正当化する「表現的応報理論」の立場から、応報主義的な刑罰理論を発展させたものである。特に本研究は、この理論が前提とする被害者の「尊厳」とは何なのかを分析し、そしてその尊厳を表現するために加害者に苦しみを与える応報的刑罰は復讐と何が異なるのかを明らかにし、またこの被害者の尊厳を表現するためにはどのような刑罰形態が適切なのかを考察し、一般的に人道的観点から批判されがちな身体刑が道徳的に正当化の余地があることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、表現的応報理論の立場から応報主義的な刑罰理論を発展させることにより、従来、直観レベルで一定の支持を集めながらもその根拠が不明瞭であるがゆえに否定的に評価されることも多かった応報主義の考え方を明確化して正当化することができるという意義をもつ。またこの理論の立場から適切な刑罰形態について考察することにより、しばしば批判の対象となってきた身体刑という刑罰形態が、条件次第では道徳的に正当化可能であることを明らかにし、刑罰制度を柔軟に改革する必要性を示すという意義をもつ。
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