研究課題/領域番号 |
19K12934
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
高橋 厚 (タカハシアダム) 東洋大学, 文学部, 助教 (70817395)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 自然哲学 / スコラ哲学 / イブン・ルシュド / アヴェロエス / アフロディシアスのアレクサンドロス / アリストテレス / トマス・アクィナス / コスモロジー / 神的摂理 / 西洋中世哲学 / 中世哲学 / イスラーム哲学 / ジャンダンのヨハネス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、西欧中世・ルネサンス期の自然哲学が、イスラーム哲学の影響によってどのように成立・変容したのかを未校訂の手稿・写本の研究を通して解明することを目的とする。具体的には、アヴィセンナとアヴェロエスというイスラームの哲学者たちの著作を、十三世紀から十六世紀の西欧の哲学者たちがどのように受容し、結果的に各論者が異なる自然・宇宙理解を示したのかを、特に天体と自然秩序との関係にかんする彼らの議論を注視することで比較検討する。本研究を通して、中世的な「自然哲学」から近代的な「自然科学」への変容過程をイスラーム哲学の積極的・批判的受容という観点から明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、西欧自然哲学の成立・展開にたいしてイスラーム哲学はいかなる影響を与えたのかという問いの解明を試みた。特に十二世紀アラビアの哲学者イブン・ルシュド(アヴェロエス)が、アリストテレスの著作に基づきながらも、天体の魂やその摂理的働きを強調する思想を展開したこと、またその思想をスコラ学者が批判的に受容するなかで十三世紀以降の自然哲学が展開したことを明らかにした。さらに、アヴェロエスの思想の成立には古代末期のアフロディシアスのアレクサンドロスの思想が前提となっており、その宇宙論がアリストテレス主義の主調を規定していることも明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
十二世紀から十三世紀にイスラム世界からギリシア語やアラビア語の文献がラテン語訳されて、それが西欧中世の文化的隆盛に繋がったことはこれまで指摘されてきた(「十二世紀ルネサンス」論)。だが、実際に訳されたテクストがどのように読まれ、新たな世界像の形成に寄与したのかの具体的な姿が既存の研究では十分に明らかにはされてこなかった。本研究は、現代では対立面が強調されがちなイスラム世界と西欧との間で密接な文化的な影響関係が存在しており、後者の科学の成立にとって前者の哲学的思想が寄与したことを明らかにできた点で、学術的および社会的意義も有していると考えている。
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