研究課題/領域番号 |
19K12948
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
富田 真理子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (20837273)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | インド仏教 / 初期仏典 / パーリ聖典 / 涅槃 / スッタニパータ / 註釈 / パラマッタ・ジョーティカー / 仏塔 / パラマッタ・ジョーティカ― / インド初期仏教 / 初期仏教 / 初期経典 / パーリ / 仏教美術 |
研究開始時の研究の概要 |
ゴータマ・ブッダやその直弟子が説いたとされるインド初期経典中の涅槃に関する先行研究は, 註釈の解釈に準じ, 生前および命終の二時点を認め前提としつつも, いずれが真の涅槃かと未だ論争が続いている. 本研究では, パーリ聖典を主資料として涅槃の諸語彙を網羅的に抽出し, 文献学的手法を用い全用例を分析することで, 真の涅槃の意味および二種涅槃[界]の成立過程を明らかにする. さらに, 経典中の涅槃観が実際の信仰の現場でどう求められ具現化されたのか. この同様に重要な問いの答えを仏教美術等の他分野と連携を図り, 学際的アプローチによって調査を行い, 涅槃の全容解明に資する新たな知見を提供する.
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研究成果の概要 |
初期仏典における涅槃の語彙を網羅的に分析し, かつ学際的アプローチの導入により, インド初期仏教における涅槃の概念に関する新たな知見を提供することを目的とした. その成果として, 註釈文献では, 生前・命終で区別する二種涅槃界の教義が確立しており前提とされるが, 初期経典においては, 生前の涅槃に主眼がおかれつつも, 涅槃の時点は曖昧に語られる場合が多いことを初めて指摘した. しかしながら, 当初より, 人々の関心は命終後の境涯であり, 涅槃や修行の完成は命終時であると考えられていたことが文献中に確認でき, この考えが, 信仰や祈りの場である仏教美術に反映されたと推測した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
初期経典で描かれる涅槃の諸相(生前, 時点が曖昧, 命終, 二種涅槃[1経のみ])と, 註釈で説かれる生前・命終で区別する確立された二種涅槃[界]の教義とは, その涅槃観が異なる場合も多いことが, これまでにない知見として明らかになった. その中で, ゴータマ・ブッダの真意が生前の涅槃であっても, 当初から人々の解釈が涅槃や修行の完成を命終と結びつける傾向が見受けられ, 信仰・祈りの場である遺跡の現場でも涅槃=命終が求められたと推測できる. 涅槃は, 画一的に理解され得る概念ではないことを明示した本研究は, 従って, 学術的並びに社会的に, 意義が認められる.
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