研究課題/領域番号 |
19K13009
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
加藤 公太 順天堂大学, 医学部, 助教 (80734615)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 美術解剖学 / 18世紀 / 西洋美術史 / 美術史 / 解剖学 / 医史学 / メディカルイラストレーション / 医学史 / 美術教育 |
研究開始時の研究の概要 |
美術解剖学は、現代でも画家や彫刻家のみならず、CGクリエイター、漫画家、イラストレーター、アニメーターなど多くの人体を扱うクリエイターから支持を受ける。しかし国内では18世紀以前の歴史的な調査が行われておらず、当時の学問の変遷を理解するには至っていない。 研究代表者はこれまで19世紀の美術解剖学の歴史を調査し、現代的な美術解剖学の歴史が19世紀末に成立したことを明らかにした。また同時期に成立したメディカルイラストレーション教育についても、美術解剖学との関係性を明らかにすることができた。本研究では、18世紀の美術解剖学およびメディカルイラストレーションの歴史を明らかにすることを目的としている。
|
研究成果の概要 |
18世紀の美術解剖学教育では、イギリスのウイリアム・ハンターやジョン・ブリスバンらの医師によって「芸術家の解剖不要論」が提唱された。解剖不要論が出た背景には、ベルンハルト・ジークフリード・アルビヌス『タブラエ』(1747)やジャン=アントワーヌ・ウードンの「エコルシェ(筋肉模型)」(1767)といった実用性の高い教材が出現したことが挙げられる。『タブラエ』もウードンの「エコルシェ」も、医師と芸術家の共同作業によって生まれていた。現代の美術解剖書は医師や解剖学者の監修が入っていないことが多いが、今なお美術と医学のコラボレーションが大事であことが示唆される。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本の美術解剖学の歴史研究では、明治以降に輸入された国内の美術解剖学の歴史研究が多く、その源流となっている西洋の美術解剖学の変遷についてはよく知られていなかった。今回行った18世紀の美術解剖学の歴史調査では、芸術家が実際の人体解剖ではなく、教科書や立体模型などの教材から学ぶようになった経緯が明らかになった。優れた教科書や模型といった教材が生まれれば、それに伴って教育も発展する。18世紀の歴史に基づく教訓からは、歴史の転換点となる実用的な教材は芸術家と医師のコラボレーションによって生まれることが示唆された。このことは美術解剖学の教科書や教材を作成する上で考慮しなければならない有益な情報である。
|