研究課題/領域番号 |
19K13095
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
高橋 愛 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (90530519)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | アメリカ文学 / 19世紀 / ジェンダー / 家庭性 / キャサリン・ビーチャー / アメリカ / 主婦 / 家庭 / ミドルクラス / ハーマン・メルヴィル / 米文学 / アンテベラム期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アンテベラム期のアメリカで「女らしさ」の特質の1つとされていた「家庭性」が活字媒体においてどのように定義され、その定義が文学作品ではどのように反映されているかを解明しようとするものである。まず、リディア・マライア・チャイルドやキャサリン・ビーチャーのものを中心に著書や定期刊行物で行われた女性向けアドバイスの分析を通して、女性作家の作品の中で「家庭性」の概念がどのように反映されているかを検討する。さらに、同時代の男性作家が主婦という存在や「家庭性」の概念をどのようにとらえていたのかの分析を行う。そのうえで、「家庭性」という理念の表象を介してアンテベラム期のジェンダー規範の再検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、19世紀中葉のアメリカの家事指南本をはじめとする活字媒体において「家庭性(domesticity)」の概念がどのように表象されているのかについて検討を行った。具体的にはリディア・マリア・チャイルドの『アメリカのつましい主婦』とキャサリン・ビーチャーの『家政学論』、さらに、ハーマン・メルヴィルの「私と私の煙突」および「林檎材のテーブル」で提示される主婦像の分析を行い、女性による家事指南本も、男性による小説も、家庭を女の領域とする同時代のジェンダー観に従った主婦像を提示しているようでありながら、そこからの逸脱もうかがえるということを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、リディア・マリア・チャイルド、キャサリン・ビーチャー、さらに、ハーマン・メルヴィルの家事や家庭についての著作の分析を通して、家事指南本でも小説でも美徳としての「家庭性」よりも実態としての家庭が描かれていること、また、家事指南本での主張はジェンダーに基づく領域分離を唱道すると同時に領域侵犯をするものでもあることを明らかにした。「家庭性」概念の研究では女性作家による指南本や小説に焦点が当てられる傾向があるが、本研究では男性作家の視点も導入して男女双方の立場から検証を行った。この点が本研究の学術的・社会的意義であると言える。
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