研究課題/領域番号 |
19K13112
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 東洋学園大学 |
研究代表者 |
小林 広直 東洋学園大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (60757194)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジェイムズ・ジョイス / James Joyce / アイルランド / ディアスポラ / トラウマ / モダニズム / 憑在論 / ジャック・デリダ / ユダヤ / 亡霊 / 亡命 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は20世紀最大の小説家と称されるジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』(1922)を、アイルランドの「民族離散(Irish Diaspora)」との関連から分析をするものである。難解さで有名なジョイス作品であるため、テキストの精読は不可欠であるが、同時に19世紀の大飢饉、それによって発生した移民との関連から研究を遂行することは、グローバル化の進展とともに、移民や難民が大量に発生している今日において非常にアクチュアルな視座を提供することになるだろう。2022年の『ユリシーズ』出版100周年に向けて、一般読者にもジョイス作品の知られざる魅力や特徴を紹介できれば、と考えている。
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研究成果の概要 |
本研究では、ジェイムズ・ジョイスの作品に見られる亡霊の表象が、大英帝国とカトリック教会によって二重に支配されていたアイルランドの歴史をどのように反映しているかを考察した。植民地としてのアイルランド、あるいはその結果民族離散を経験したアイルランドの歴史の犠牲者とも言えるそれらの亡霊たちと出会い、対峙する各主人公を描くことで、ジョイスは来るべき国家としてのアイルランドの行く末を示していると結論付けた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究が亡霊(的)という言葉で明らかにした特性は、誰もが歴史の中に生きており、その時代、あるいはその地域特有のイデオロギーの影響を受ける以上、その死には政治的な歴史性が付きまとい、その死の意味を考えることは後世に生きる者の責務であるという倫理的応答可能性の問題である。この歴史という亡霊は、アイルランドに限らず、どの国にも当てはまる現象だ(例えば、本国においては第二次世界大戦における加害性と被害性の両面の問題として)。その意味で、本研究はアイルランド文学や英文学に限定されることなく、学際的な意義、そして現在を生きる私たち一人ひとりにとっても社会的な意義を持つと思われる。
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