研究課題/領域番号 |
19K13179
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
韓 喜善 大阪大学, 国際教育交流センター, 特任講師(常勤) (80756156)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 日本語 / 音声学 / 撥音 / 生成 / 知覚 / 学習レベル / 知覚判断 / 自由異音 / 学習者 / 言語学 / 日本語学 / 日本語の音声の学習 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語において音韻的には対立しているにもかかわらず音声的な違いが曖昧になる現象について、特に、いわゆる撥音(ん)に母音が後続する場合に関して検討を行う。日本語において、母音や無声摩擦音(サ行音、ハ行音)に後続する撥音は母音に近い音声として生成されやすいため、「原因」と「鯨飲」のような語の区別は日本語母語話者にとっても困難な場合がある。これは、日本語を外国語として学習する者にとっても、知覚のみならず生成においても困難である。本研究課題では日本語母語話者と韓国語母語話者で日本語学習者を対象に生成と知覚の両面から音声学的な調査を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究は、日本語の母音間の撥音の認知において「調音器官への接近の度合い」がどのような影響を及ぼすかについて知覚実験を行ったものである。 本研究で使用した音声は閉鎖が弱い音声が多く含まれる。日本語母語話者については、調音器官の狭窄が強ければ撥音として認知されやすいものの、むしろ狭窄が緩い母音に近い音声の方が母音間において 自然だと感じられるという点で、川上 (1987)の見解を支持するものである。 一方、韓国語を母語とする日本語学習者については、韓国語のように語末鼻音を明確に閉鎖する言語話者にはこのような音声は撥音としての判断を下しにくかったものと解釈できる。特に、初級学習者は、撥音の知覚においても韓国語と同様に閉鎖鼻音として明確に生成されているかどうかに注目し、閉鎖が明確ではない撥音の音声を撥音として判断しない傾向があった。しかし、上級学習者は、調査した3群のうち最も正答率が高かったものの、母音間での撥音の自由異音としての母音の容認度は、 日本語母語話者の容認度に達していなかった。 現在、テスト語を増やして同様の実験を行うなど、データの追加の収集やを行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響によってデータの追加の収集にやや支障が出たため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果(Han 2016、韓2017、韓 2018a, 韓 2018b, 韓 2021, 韓 2022)をまとめて、生成と知覚とを関連づけつつ、各学習レベルの特徴について総合的な検討を行う。日本語母語話者、各レベルの学習者の撥音の認知の仕方とはどのようなものなのかまとめる。その成果を8月国際学会(International Congress of Phonetic Sciences 2023)で発表する予定である。
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