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18世紀ドイツにおける官房学の形成と人口論―自然・道徳・統治の統合―

研究課題

研究課題/領域番号 19K13386
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
研究機関大阪大学

研究代表者

紫垣 聡  大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 助教 (90712745)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
研究課題ステータス 完了 (2023年度)
配分額 *注記
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード官房学 / 人口思想 / 人口統計 / ズュースミルヒ / ポリツァイ / 政治と科学 / プロイセン / 科学と政治 / 人口論
研究開始時の研究の概要

官房学とはどのような学知だったのか。ドイツ的官僚主導の重商主義という従来の理解は表面的である。そこで本研究は人口論に着目する。17-18世紀、人口動態の規則性が科学的な方法で明らかにされると、人口のコントロールを国力強化に利用する政策論が活発化した。人口は、自然と人間社会の摂理を結ぶ論点となった。
本研究の目的は、科学的・客観的とされる知識や新しい道徳哲学が統治の技法へと媒介されるプロセスを明らかにし、国家と社会の諸現象を「科学的」に操作しようとした官房学の思考様式を描き出すことである。官房学を「計る統治」として捉えることは、近世ヨーロッパにおける知識と統治の関係を問い直すことにつながる。

研究成果の概要

本研究は18世紀ドイツにおいて成立した官房学に関して、その枢要な論点をなした人口論に着目し、官房学が国家統治の学として体系化される知的背景を調査した。ヨハン・ペーター・ズュースミルヒや重要な官房学者のテクスト群の分析を通して、従来の重商主義的な財政論ではなく、自然科学の知見に立脚した官房学の議論を明らかにした。そこには人口動態の法則性のような自然の秩序にもとづく統治の構想、いわば「計る統治」が官房学を特徴づける理念として表れていた。この成果から、官房学をドイツに閉じられた学問ではなく、18世紀ヨーロッパにおけるポリティカル・エコノミーの成立という枠組みにおいて捉える視点を提示した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究はこれまで重商主義的な財政政策を中心に論じられていた官房学の理解を広げ、合理的な思考と自然科学的アプローチを重視する総合的な統治の学として特徴づけた。これは18世紀後半のヨーロッパで広く発展していた政治経済学に連なるものであり、官房学を国際的に論じる視点を提供する。
ズュースミルヒによって開拓された人口統計の理論と実践は、数量的なデータやその規則性を政策決定の根拠とする「計る統治」のコンセプトを官房学にもたらした。この統治論の特徴はこの時期のポリティカル・エコノミーの研究に貢献するだけでなく、現代における政治・社会と科学的知識との関係についての議論にも歴史的知見を加えることができる。

報告書

(6件)
  • 2023 実績報告書   研究成果報告書 ( PDF )
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ズュースミルヒ『神の秩序』と人口の統治2022

    • 著者名/発表者名
      紫垣聡
    • 雑誌名

      待兼山論叢(史学篇)

      巻: 56 ページ: 29-55

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 近世ドイツ官房学における人口論――ズュースミルヒ『神の秩序』を中心に――2020

    • 著者名/発表者名
      紫垣聡
    • 学会等名
      第70回日本西洋史学会大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2025-01-30  

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