研究課題/領域番号 |
19K13441
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澁谷 由紀 東京大学, 附属図書館, 特任研究員 (90821976)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 公田 / 公土 / 地簿 / 地図 / コーチシナ / ベトナム / Hamlet Evaluation Survey / 公田・公土 / 村落 / GIS / 史資料 / 類型化 |
研究開始時の研究の概要 |
『嘉定城通志』や『明命17年地簿』に記載された伝統王朝期の田土・物産情報、仏領期初期からベトナム共和国期の公田・公土(村落共有田・畑)に関する情報、仏領期中期の国有地払い下げ・土地売買に関する情報、第二次インドシナ戦争中の村落評価情報といった各時代の土地に関する情報を計量化し緯度・経度を確定させる。そのうえで、GISを利用してこれらの情報を地図上にプロットして可視化し、その分布を比較・分析する。この作業を通じてベトナム南部農村の体系的かつ多様な類型化を試みる。
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研究実績の概要 |
第一次・第二次インドシナ戦争はベトナム南部問題が焦点であったため、ベトナム南部農村史の理解はベトナム近現代史の重要な課題である。しかしこれまでの研究では南部⇔北部やメコンデルタのハウザン河以西⇔以東というマクロなレベルに分析の視点が置かれたため、1930年代初頭のメコンデルタ農民蜂起や第二次インドシナ戦争中の解放勢力の優勢が、なぜ当該地域で発生したのかという重要な問題を十分に説明することができなかった。 本研究は、(1)伝統王朝期の田土・物産情報、仏領期初期からベトナム共和国期の公田・公土(村落共有田・畑)に関する情報、仏領期中期の国有地払い下げ・土地売買に関する情報、第二次インドシナ戦争中の村落評価情報といった各時代の土地に関する情報を計量化し緯度・経度を確定させ(2)そのうえで、GISを利用してこれらの情報を地図上にプロットして可視化し、その分布を比較・分析し、(3)この作業を通じてベトナム南部農村の体系的かつ多様な類型化を試みることを目的としている。 4年目である本年度は、ベトナム国家文書館第2分館における資料収集を集中的に実施した。2023年12月~2024年1月、2024年3月の2期にわたり実施したこの調査の中で、全コーチシナ(ベトナム南部)の省に対して政庁から公田・公土に関する実態調査が発令された、1982年頃、1922~26年頃、1938年頃の三つの時期について、社(行政村)レベルにおける、公田・公土の総面積、リース中の総面積、地片数等のデータを一部を残し網羅的に収集した。その結果、仏領期を通じて公田・公土はしばしば新設され、地域によっては耕地に対する割合は相当に高いこと、1938年にはリースが政庁によって推奨され世論がそれを歓迎するなど、貧民救済のための手段として評価されたことがわかった。 また、ベトナム共和国の公田・公土政策に関する資料も入手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
4年目となる本年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響が収束したため、1年目~3年目に実施予定であったベトナム国家文書館第2分館での資料収集を実施しえた。 収集したコーチシナ知事コレクション(Goucoch.)の公田・公土資料は、全コーチシナを網羅していること、三つの時期の間で比較検討が可能であることから、研究資料として利用価値が高く、ベトナム南部農村の体系的かつ多様な類型化が可能になると言う点で、大きな成果であった。現在、GISを用いた分析と地図作製を行っている。 また一部の社(行政村)については、公田・公土新設の申請書や公田・公土に関する係争の報告書も収集した。これらの資料から、当時の村落にとって、公田・公土が持つ意味が分析可能になった。 一方、第二次インドシナ戦争中のHES(Hamlet Evaluation Survey)資料(Records of the Military Assistance Command Vietnam, Part 1. War in Vietnam, 1954-1973, MACV Historical Office Documentary Collection)の分析については、ベトナム国家文書館第2分館での調査やその資料の分析に集中したため、大きな進展がなかった。しかしながら、ベトナム国家文書館第2分館において、第二次インドシナ戦争中の公田・公土政策に関する公文書を入手し、仏領期から第二次インドシナ戦争中にかけての長期的な視点で各地域の土地所有の実態を把握することが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の本年度は、下記の(1)(2)(3)の通り研究を進める。 (1)コーチシナ(ベトナム南部)全域について網羅的・広域的に資料を収集しえた仏領期の公田・公土の分布データの地図作製作業に重点を置き引き続き進める。一部の未収集資料についてはベトナム国家文書館第2分館での資料収集を継続する。 (2)仏領期の公田・公土について、当時のベトナムにおいて貧民救済の手段としてどの程度世論が評価していたのか、国内研究機関に所蔵されているマイクロフィルム版の新聞を通じて考察する。 (3)(1)の結果と比較検討することで通時的な考察ができるよう、ベトナム国家文書館第1分館所蔵の『明命17(1836)年地簿』の複写の分析、第二次インドシナ戦争中のHES(Hamlet Evaluation Survey)資料の収集と分析を進める。
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