研究課題/領域番号 |
19K13495
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 日本大学 (2021-2022) 北九州市立大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
石塚 壮太郎 日本大学, 法学部, 准教授 (90805061)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 社会権 / 生存権 / 枠組的権利 / 教育権 / 社会国家の変容 / 社会国家原理 / 健康権 / 司法的統制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1970年代以来学説上ほとんど進展がみられなかった社会権の本質論について、最新のドイツにおける展開の分析を通じて、打開を図ろうとするものである。その際、ドイツにおける社会権の新たな転回――「枠組的権利」論――をモデルとして、社会権領域における権利論のあり方を明らかにするとともに、我が国の社会権論の現状を踏まえ、社会権解釈及びそれに基づく司法的統制のあり方を明らかにする。その重点は以下の3点である。①ドイツにおける社会権の構造分析――「枠組的権利」としての社会権、②ドイツにおける社会権に基づく司法的統制の手法、③日本における枠組的権利としての社会権の提唱可能性の模索。
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研究成果の概要 |
本研究では、社会権(とりわけ生存権)の存在を明らかにし、実効的な社会権保障の理論を構築した。ドイツでは2010年のハルツⅣ判決により「生存権」が解釈論上導き出された。同判決では、生存権の段階的理解に基づき、憲法レベルでは社会扶助法上の基本的原則が憲法規範として定礎され、その観点から司法審査がなされた。連邦憲法裁判所は、生活保護基準額が明らかに低廉すぎることや、その保護基準額に至る計算が首尾一貫していないことを理由に違憲としたりしている。日本でも近時下級審レベルでは生活保護費の切り下げを「違法」とする判決が出ているが、法律改正にも対抗できるように、これを憲法レベルの議論に引き上げる必要がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、憲法に明文の規定(25条1項)があるにもかかわらず、判例上その主観的権利性を認められているとは言い難い生存権について、それをいかに理解し、構成することによって、その存在が認められ、その実効的保障が可能になるかを明らかにしたものである。ドイツでは、憲法に明文の規定がないにもかかわらず、連邦憲法裁判所が「生存権」を承認した。その権利構造と司法審査のあり方は、日本の生存権理解にとっても、非常に参考になるはずである。日本の生存権に関する学説はさほど発展しているとは言えない。ドイツの生存権のあり方は、教科書記述レベルで日本の生存権の理解に変更を迫るものであり、裁判所にも採用されうるものである。
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