研究課題/領域番号 |
19K13528
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
石崎 由希子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50547817)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 健康管理 / テレワーク / 不妊治療 / 病気休職・復職 / 障害者雇用 / 就労困難者 / 就労支援 / 高齢者雇用 / 試し出勤 / 障害者の雇用・就労 / 治療と仕事の両立 / 休職 / 柔軟な働き方 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、治療と仕事の両立に向けた法理論を明らかにすることにより、要配慮労働者が自らの意思と能力を最大限活かすことを可能とする社会の実現に貢献することを目的とするものである。本研究では、傷病労働者に対する配慮は個別的で多様であるため、その確定に際しては、職場における労使間のコミュニケーションが重要であるとの認識を前提に、こうしたコミュニケーションを実質化するために必要となる法理論について、ドイツ法との比較法的検討を行う。その際、障害者雇用や労働安全衛生、ワークライフバランス関連法制にも目配りする点に本研究の特徴がある。また、本研究の成果は、事業者の行為規範の明確化にもつながることが期待される。
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研究実績の概要 |
2022年度は、前年度から行ってきた、①疾病予防に係る労働安全衛生法制の検討、②柔軟な働き方の1つであるテレワークに係る法的課題の検討について、学会報告・論文執筆等を通じて、検討の成果を公表するなどした他、新たに③不妊治療と仕事の両立に関する法政策の検討を開始した。 ①との関係では、化学物質管理に係る法制の検討を中心に、事業者間の情報伝達を前提に、リスクアセスメントを実施することを原則とする法制の重要性及び企業内外の人材の養成が重要であることを確認した。専門性が求められる問題について、労使が適切にコミュニケーションをとるためには、外部専門家の関与が必要であるが、同時に、企業組織内部でも、一定程度の知識を有する担当者の養成が重要であることを確認した。同検討結果は、化学物質による健康障害の問題にとどまらず、未知のリスクへの対応に際し応用できる内容と思われる。また、上記の他にも健康管理に係る法制について整理した。 ②との関係では、テレワークにより生じる労働法上の課題について論稿をまとめ、特に、要配慮労働者との関係でテレワークを実施する義務が生じうるか、パンデミック等の緊急時と平時とを分けて検討を行った。特に、緊急時については、労働者の同居の家族との関係でテレワークが求められるかについても検討を行った。 ③については、不妊治療をしていることについて職場で明らかにすることを望まない労働者も多いという特質を踏まえつつ、検討を開始しつつある状況である。2023年度以降にその成果を公表するよう努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は海外調査こそできなかったものの、研究課題と密接な関連を有する安全衛生法制についての体系的な検討を行い、その成果を公表することができた。コミュニケーション促進規範という本研究の視点からも有益な示唆が得られている状況にある。「治療と仕事の両立」や「不妊治療と仕事の両立」に直接関わる領域の検討はこれまで遅れがちであったが、年度後半には、サバティカルに入ったこともあり、一定程度進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの成果やワーク・ライフ・バランス法制の検討も踏まえつつ、「治療と仕事の両立」や「不妊治療と仕事の両立」に係る法政策の検討を総合的に行うとともに、新たな法政策・法理の構築に向けた試論の提示を行えるよう検討を進めていくこととする。また、病気休職・復職をめぐる法理についても、新たな裁判例の蓄積がみられることなどから、その点についての検討も進めていく。
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