研究課題/領域番号 |
19K13568
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 尾道市立大学 |
研究代表者 |
王 佳子 尾道市立大学, 経済情報学部, 講師 (50755296)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 会社補償 / 取締役 / デラウェア州 / イギリス / 防御費用 / アメリカ / 費用 / 任務懈怠 / 悪意または重過失 / 図利加害目的 / 誠実 / 意図または故意 / 会社法 / インセンティブ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、今般の会社法制(企業統治等関係)の見直しで明文化することになった会社補償制度について、会社がどこまで取締役らの争訟費用および損害賠償金もしくは和解金を補償すべきかについて適切な考え方を提示することを目的とする。具体的には、いわゆる取締役の誠実な行動を会社補償の要件とするかどうかについて、会社補償制度の設置や運用において先駆的な地位を有するアメリカ(とりわけ、デラウェア州)とイギリスの考え方が分かれていることに鑑みて、両国の判例法や学説をもとに、取締役の誠実な行動とは何か、取締役の誠実な行動が会社補償の範囲を画する際にどのように機能しているか等を検討し、日本法のための示唆を図りたい。
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研究成果の概要 |
デラウェア州一般会社法における費用補償と2006年イギリス会社法における費用補償の比較により、図利加害目的は、423条にいう任務懈怠責任を生じる帰責性と同程度の帰責性を表すものとして捉えることができる。また、会社との訴訟等手続、会社以外の私人との訴訟等手続、規制機関が採る訴訟等手続や、刑事訴訟等手続で防御に成功する限り、図利加害目的を問題にする必要がないと考える。なお、取締役へのインセンティブを考慮して、取締役の帰責性が軽微でないにもかかわらず、和解によって訴訟や法的手続を終了させた場合を除き、和解等によって訴訟や法的手続を終了させても、防御に成功したものとして捉えることができる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2019年に成立した「会社法の一部を改正する法律」により、会社は、一定の要件を満たす取締役に対してしか補償することができなくなった。このような要件は、補償が認められる取締役の帰責性の上限を示唆しているものとして捉えられるにもかかわらず、その解釈論が未だ十分に進められていないので、アメリカのデラウェア州法やイギリス法をもとに、430条の2にいう会社補償の適切な範囲に関する考え方を提示した本研究は、その議論の活発化に資することができ、学術的意義を有する。同時に、会社補償といわゆるside Bカバーの間に密接な関係があるので、本研究は、保険実務の進化にも資することができ、社会的意義を有する。
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