研究課題/領域番号 |
19K13569
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 香川大学 (2020-2021) 中央大学 (2019) |
研究代表者 |
齋藤 航 香川大学, 法学部, 准教授 (00803975)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 過失相殺 / 損害賠償 / 債務不履行 / 契約 / 損賠賠償 / 契約違反 / avoidable consequence / comparative negligence / mitigation |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本法における過失相殺、そしてアメリカ法における賠償請求者の過失を理由とする賠償額の減額制度(過失相殺類似の法理)について、その根拠に着目して検討する。そして、アメリカ法においては「経済的効率性」という観点から、当事者には損害を最小化することが求められていることを指摘したうえで、この「経済的効率性」とは具体的にどのような内容なのかを明らかにし、日本法への応用可能性を検討する。
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研究成果の概要 |
本研究は、民法418条の過失相殺について、その根拠、即ち「なぜ債権者の当該行為によって損害賠償額が減額されるのか」という疑問に対して理論的な答えを示すものである。 まず、日本法における判例・学説の検討を踏まえ、契約違反における過失相殺には、債権者自身の契約違反を根拠とする場合と、必ずしも契約違反を根拠としない場合があることを指摘した。そのうえで、アメリカ法における過失相殺に類似した減額法理の分析を踏まえ、契約違反を根拠としない場合には、当事者は経済的効率性の観点から損害を最小化すべきという、社会経済的な規範に対する違反が根拠となり得るとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、債権者の事情を理由とする損害賠償額の減額について、その理論的根拠と全体構造を示した点にある。 根拠について、これまで過失相殺では「当事者の公平な損害分担」が根拠とされてきたのに対し、特に契約違反の場合においては、契約および経済的効率性という概念が根拠となることを示し、「公平」の中身を理論的に具体化した。 そして、損害賠償の減額方法には過失割合を認定して損害額を案分する方法(割合的減額)と、具体的な額を決める方法(部分的減額)があり、日本とアメリカの検討を通じ、部分的減額が割合的減額に優先するという「部分的減額優先の原則」があることを主張した。
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