研究課題/領域番号 |
19K13695
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
森 大建 九州産業大学, 経済学部, 講師 (20779623)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 情報の非対称性 / 環境税 / 価格支配力 / セカンドベスト / 環境政策 / 不確実性 / 不完全競争 / 補助金 / 数量規制 |
研究開始時の研究の概要 |
情報の非対称性が存在する条件下での課税政策と排出権取引の制度比較は,Weitzman (1974)を皮切りに,多くの研究者によって拡張,修正がなされてきた。しかし,先行研究の多くは,企業の性質が一様な仮定の上に成立しているものであり,市場構造そのものが政策決定に与える影響については詳細に論じられてこなかった。 本研究では,製品価格に影響力を持つ企業とそうでない企業の割合に注目し,価格規制と数量規制,あるいは各々を組み合わせたポリシーミックスのいずれかの政策を実施する場合,厚生損失が最小となる環境政策および実施条件を明らかにする。
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研究成果の概要 |
政府が企業の私的情報や環境被害の程度について不確実性を持つ場合の,環境政策の効率性について,(1)支配的企業と非フリンジ企業に関する不確実性が異なる場合,(2)独占市場における過少生産と過剰生産の是正,の2点について分析した。研究結果として,(1)規制対象企業の不確実性が相対的に大きい場合,数量規制を実施する方が厚生損失の期待値が小さくなるが,非政策対象企業の不確実性が大きい場合には,課税政策の実施が望ましくなる。(2)市場需要を満たすような補助金政策が常に優先され,市場需要関数の傾きが限界損害関数の傾きよりも相対的に大きくなる場合には,補助金政策の有効性が一層高まることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
各国の環境政策は,エネルギー集約的な企業を対象としていることが多い。政策についても,環境税や排出権取引など,価格規制と数量規制のいずれかの手法が取られている。本研究成果では,限界削減費用と限界被害の相対的な大きさ,そして,政府が規制対象企業と非規制対象企業どちらの不確実性が大きいか,の2点が明らかとなれば,効率的な環境政策手段を決定することができる。この点は,政府の意思決定について一助となることが考えられる。また,環境保全を目的とした政策は歓迎される傾向が強いものの,効率性の観点からは,市場需要を満たす政策の方が望ましいという結論も,政策決定の一つの目安となることが考えられる。
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