研究課題/領域番号 |
19K13722
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 大阪大学 (2022) 東北学院大学 (2020-2021) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
佐々木 周作 大阪大学, 感染症総合教育研究拠点, 特任准教授(常勤) (20814586)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 寄付金控除 / マッチング寄付 / フレーミング効果 / 行動経済学 / 実験経済学 / フィールド実験 / オンライン実験 / オプトイン / 寄付控除 / 寄付税制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「寄付金控除」による還付施策と「マッチング寄付」による上乗せ施策を、経済実験を用いて比較する。両者は実質的に同じ寄付促進施策であるが、前者は減税で、後者は第三者機関の上乗せ寄付で、一定金額を寄付する際の自己負担額を下げて寄付を促す。優遇額が同じでも、行動経済学では施策の表現(フレーミング)の違いが異なる効果を生むと考える。本研究では、日本人を対象に実験を行って、日本人において寄付金控除よりマッチング寄付の方が寄付行動を促進するのかを検証するとともに、日本の既存の寄付税制について改善案を提示して、政策的に貢献することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、「寄付金控除」による還付施策と「マッチング寄付」による上乗せ施策が寄付行動に与える影響を経済実験を使って比較した。日本全国の調査会社の回答モニターを対象に、金銭的報酬で動機づける経済実験を行った(N=2,300)。分析の結果、優遇率が同じでも、寄付するときの自己負担額を還付によって下げる寄付金控除に比べて、第三者の上乗せによって下げるマッチング寄付の方が高額の寄付を誘発する効果が大きいことが分かった。この結果は、海外の一連の先行研究で観察された結果と一致している。日本でも、マッチング寄付が寄付行動を促進する効果が相対的に大きい可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
寄付金控除は、個人寄付を誘発する目的から多くの国で採用されている制度の一つである。しかし、その寄付金控除が政策担当者の期待ほどは寄付行動を誘発しない可能性が指摘されてきた。日本でも、寄付金控除が効率的に個人の寄付行動を促進できていない可能性を示唆する背景事情が複数存在する。第一に、過去に日本政府が寄付金控除の優遇内容を充実させてきたにもかかわらず利用率は低いままであり、日本の個人寄付の水準もまた国際的に低いままである。第二に、日本で寄付金控除を利用するときの追加負担が諸外国に比べて高い可能性がある。より効率的に寄付行動を促進できる、寄付控除以外の施策を探究することは日本の政策的に重要である。
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