研究課題/領域番号 |
19K13784
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
酒井 健 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (60757061)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 経営組織 / 組織フィールド / 労働慣行 / 歴史的組織研究 / 歴史的合流 / 組織論 / 働き方改革 / 専門職 / 制度的ワーク / パワー / 制度の内生的変化 / 行為主体性 / 制度変化 / 歴史研究 |
研究開始時の研究の概要 |
ある産業を調査すると,経済合理性とは無関係に昔から維持されてきた労働慣行が観察されることがある.事後的に見れば非合理的であっても,その種の慣行がなかなか変わらないのは何故だろうか.それが人々の手で変わることがあるとすれば,そのメカニズムはいかなるものなのか.本研究では,このような問題意識を念頭に,かつて日本の看護師が行っていた医療機器の煩雑な管理業務が長期の時間展開のなかで変わっていった事例を歴史的視点から詳細に分析し,そこから引き出される仮説を組織論の理論的文脈に位置付けて提示する.それにより本研究は,日本社会の大きな課題である「働き方改革」の問題に示唆を提供することを目指すものである.
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研究成果の概要 |
本研究では,どのように働き手たちが因習的な労働慣行の変化に影響を及ぼし得るかを検討した.医師の補助的な働き方を脱して看護中心の働き方を実現していった日本の看護職の歴史的研究を通じて,第一に,世代を超えた行為主体による変革行動の持続が重要な要因になることが分かった.第二に関連する政策・技術の変化が,意図せざる結果として,変革に対し促進的影響を及ぼすことが分かった.ここから,因習的な労働慣行の変化は,世代を超えた内生的な行為連鎖という「本流」に,外からの「支流」が歴史的に合流(historical confluence)することで進む可能性が示された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
業界に広く見られる労働慣行の変化に関する既存研究では,ある世代のアクターによる意図的な変革行為が影響力を持つと見なす傾向にあった.これに対して本研究は,日本の看護職の歴史的研究に基づき,働き手たちの世代を超えた超長期的努力の持続に,政策や技術の変化の意図せざる結果が「歴史的に合流」したことで,広く業界に見られた労働慣行が変化したことを指摘している.このような点に,本研究の学術的新規性・意義がある.またこの歴史的プロセスは,長期的視点で見た時に,変革の実現に対して有効な要因は何だったのかを示唆し,現代日本組織に変革のヒントを提供する点で,実践的意義を持つ.
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