研究課題/領域番号 |
19K14058
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
小木曽 由佳 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (50829174)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 多元性 / 治療関係 / 対称性 / オルタナティブ教育 / 心理学的類型論 / ピアサポート / 心理学的類型 / 神経症 / 気質 / 教育関係 / 個別性 / 類型論 / ウェルビーイング / 人生の意味 / 自己実現論 / タイプ / ダイバーシティ / レイセラピスト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,「多元性(plurality)」という語を用いて人間個体の多様な広がりを表現し,差異を持った個体同士が関係しあうことが持ちうる創造的な意味について,臨床教育学的観点から理論的・質的に検討することを目的とするものである。 本研究では,心理療法における治療関係を人間関係一般の雛形として捉え,具体的には次の2つのアプローチ,a) 心理学的類型論という形で, 人間存在の「多元性」を分析した思想家の理論の比較検討,b) 治療関係における対称性をめぐる検討,を通して考察を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は,「多元性(plurality)」という観点から,差異を持った個体同士が関係しあうことが持ちうる創造的な意味について,臨床教育学的観点から理論的・ 質的に検討することを目的とするものである。 本研究では,次の2つのアプローチ, a) 心理学的類型論の形で, 人間存在の「多元性」を分析した思想家の理論 の比較検討, b) 治療関係における対称性をめぐる検討,を通して考察を行っている。 本年度は、a)b)の課題について考察を進めた。a)では,異他なるものとの関わりがもたらす心理的効果について検討した論文「魚シンボルの二重性に関する分析心理学的考察──わが国におけるなまぐさの思想と『夢応の鯉魚』をめぐって」が,査読を経て『ユング心理学と生命循環』に収録された。b)の 「治療関係における対称性」の考察にあたっては,大学におけるピアサポートという形で他者支援に取り組む学生にインタビュー調査を行った。また,哲学者M. ブーバーが人間の根本的な人間関係の一つとして治療関係に並んで挙げている,”教育における教師と生徒の関係”を取り上げた。いくつかのオルタナティブな教育実践(シュタイナー学校,サドベリースクール,学校法人きのくに子どもの村学園,伊那市立伊那小学校)では,一般的な 教育観とは一線を画し,児童生徒の存在や意志の力を教師が深く尊重するという,従来の非対称的な教育関係とは異なる関係性をベースにしている。これらの実践の異同を検討することにより,多元性を維持しつつ,人間関係を構築する中で個々の成長を目指す人間観のモデルを抽出することを目的として,熊本大学教育学部の苫野一徳氏,東京理科大学理学部の井藤元氏との共同研究で,各学校に実際に取材調査に赴き,授業見学や教師・生徒へのインタビューを行った。この成果は,書籍としてまとめており,令和5年に日本能率協会より出版の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究内容について,ほぼ年度始めの計画通りに進んでいる。令和3年度までは新型コロナウイルスの影響等で控えていた取材調査も本年度は無事に実施できたことで,当初予定していた素材を着実に収集することができ,研究のまとめに入っている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,研究課題の完成に向けて,a) 心理学的類型論の形で, 人間存在の「多元性」を分析した思想家の理論の比較検討,b) 治療関係における対称性をめぐる検討の両課題を遂行する。これまで行なってきた心理学的類型論の比較検討を臨床実践の中で検証しつつ,その成果を論文の形にまとめるほか,オルタナティブ教育の実践の調査より得た知見をまとめ,考察の結果を書籍として公刊する。以上を通して,多元的人間観に基づく関係論の構築を目指す。
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