研究課題/領域番号 |
19K14358
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
綿村 英一郎 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (50732989)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 裁判官 / 裁判員(一般市民) / 量刑 / 正当化 / 違い / 応報 / 量刑判断 / 裁判官と一般人 / 司法制度 / 正当化理由(justification) / 児童虐待 / 刑罰の正当化 / 道徳 / 死刑 / 法廷心理 / 正義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、裁判官を対象に脳血流動態反応の計測を含む様々な実験を行い、裁判官という社会的役割が一般人の考える「罪に対する罰」の正義とどう異なるのかを比較しその差分を明らかにすることで、司法の現場で実施されている「法的正義」を抽出する。つまり、「法的正義」という名のもとに、裁判官がどのような正義を思いめぐらし、その正義をどのようにその専門的知識や経験と関連づけ、刑の量定に算定しているのかを分析する。加えて、裁判官を対象にした研究が少ないという学術的背景を鑑み、将来の裁判官研究につなげるための基礎的データを集積する。
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研究成果の概要 |
裁判という制度を抱える現代社会において,「罪に対する罰」は普遍的で素朴な正義のみで成り立つわけではなく,「法的正義」というより“高次な”正義をも同時に追求している。本研究では,その前線を担う職業裁判官にフォーカスし,裁判官という役割を与えられるがこそ気づき・考える「法的正義」を明らかにする。そのために,同一の事件に対する判断を裁判官と一般市民とで比較する実験を行った。一連の研究の結果,両者には量刑や正当化といった様々な側面において違いがあることが示された。さらに本研究では,正当化を測定するための新たな尺度開発にも成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義には(1)正義の複層性の解明に加え、(2)裁判をテーマにした学術的研究において職業裁判官を扱った研究が圧倒的に少ないという現状を打破するという意義があった。申請者が調べた限り、2000年以降から研究開始時までに行われた研究はWeb of Science上では37件に留まり、そのほとんどは特定の裁判にフォーカスした事例研究であった。研究数の少なさゆえ、裁判官の正義が一般市民の正義と何がどう違うのか?といった問いに対して、実証的データに裏付けされた考察をすることが長らくできないままでいた。本研究では職業裁判官と一般市民を比較することで、両者の違いのいくつかを示すことができた。
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