研究課題/領域番号 |
19K14460
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 (2022-2023) 名古屋市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
山本 竜也 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 講師 (70802924)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 集団行動活性化 / アンヘドニア / QOL / 社会機能 / 抑うつ / 展望 / 予備的検討 / 遠隔心理支援 / 行動活性化 / うつ症状 / うつ病 / 認知行動療法 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病では、抑うつ気分や興味・喜びの減退が中核的な症状となり、それに付随して様々な症状が認められる。また、うつ病は地域住民中に最も頻繁にみられる精神障害であり、精神保健上の大きな課題でもある。抑うつ症状の中でも、興味・喜びの減退は、自殺念慮と深く関わっているだけでなく、うつ病の第一選択薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬の治療反応性に悪影響を及ぼす。したがって、抑うつ症状の中でもアンヘドニア症状に焦点を当てた治療技法によって、抑うつ患者の回復が促進される可能性がある。本研究では、行動活性化がアンヘドニア症状を改善するかをいくつかの実証的な研究を通して検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、集団形式の行動活性化がアンヘドニアに及ぼす影響について予備的な検討を行い論文として出版した。 この論文では、大学生12名を集団行動活性化を受ける群(行動活性化群)とその間介入が行われない統制群にランダムに振り分けて、週に1回の頻度で計4回、1か月後のフォローアップから構成される集団行動活性化を適用し、その効果について検証した。指標は、行動活性化における行動の変容、報酬可能性、アンヘドニア、全般的な抑うつ症状、社会機能、生活の質(QOL: Quality of Life)であった。その結果、行動活性化における行動の変容、報酬可能性を測定する心理尺度は統制群よりも介入群で大きく改善し、アンヘドニア、全般的な抑うつ症状、QOLの増加を認めた。社会機能の改善に関しては明確な結論が出せなかった。本研究の結果から集団形式の行動活性化はアンヘドニアに対して有効であり、全般的な抑うつ症状やQOLの改善に有効であることが示唆された。社会機能に関してはさらなる検討が求められる。 このように、行動活性化はアンヘドニアに対して効果があると考えられる結果は得られたものの、サンプルサイズが小さい点、ゆえに統計的解析に適さない点、効果量等の算出も難しい点といった課題もあり、さらなる検討が必要であると言える。また、本研究課題を遂行している間に、諸外国でもアンヘドニアの改善に関する論文が出版されており、報酬が処理されていく過程に介入することでアンヘドニアを改善できる可能性が示されている。このような動向を踏まえながら、介入内容を最適化するといったことも必要となっていくだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による影響がパンデミック終了後にも継続的に研究の遂行に影響を与えている。それに加え、研究機関の異動が重なったことも要因として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はすでに得られている研究データの出版をはじめ、当初の研究計画の到達に近づけるように研究を進めていく。
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