研究課題
若手研究
反すうとは、様々な苦悩について繰り返し考え続けることを指し、様々な精神症状との関連が指摘されている。しかしながら、どのような脳活動パターンがこの反すうの「繰り返し考える」という側面と関係しているのかは明らかになっていない。本研究では、繰り返し考えてしまうことの認知神経メカニズムを明らかにするため、機能的MRIを用いた一連の研究を行う。
反すうとは、自身の苦悩や苦悩と関連する症状を取り巻く環境について受動的かつ繰り返し考え続けることを指す。本研究では、反すうを特徴付ける「持続性」に着目し、その背景にある認知神経科学的メカニズムの探索を行った。本研究では主に2つの実験を行った。1つ目は、安静時の脳の状態をMRIで測定し、そのパターンと自己に対する評価の関連性を検討した。2つ目は、MRI内で自己に対する評価を行ってもらう課題を実施した。実験1の結果前頭葉内側部と線条体の機能結合が高いほど,潜在優位性得点が大きいことが示された。また、実験2の結果、自己内省を行っている際の楔前部や後部帯状皮質の活動が高いことが明らかとなった。
本研究は、抑うつ症状と関連する変数である反すうが何故持続してしまうのか、そのメカニズムを調べるための研究として位置付けられる。反すうは、症状の強くない健常者においても、一般的に認められる現象であるが、将来的な抑うつ症状や不安のような内在化症状だけでなく、外在化症状へのリスクファクターであることが指摘されている。このことから、本研究はそのような精神疾患のリスクファクターの理解を深めることで、有効な心理療法や予防法の開発につながる研究と考えられる。
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PsyArXiv
巻: -
10.31234/osf.io/z3t2h
Current Psychology