研究課題/領域番号 |
19K14473
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
篠原 恵介 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (10803603)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ネオフォビア / 情動 / 食行動 / ラット / 海馬 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトなどの雑食性動物は初めて経験する飲食物の摂取を躊躇する行動傾向 (新奇恐怖, ネオフォビア) を示す。げっ歯類 (ラット, マウス) を対象とした従来の行動神経科学的研究では、摂取量の変化を行動指標として特定の神経科学的操作による影響が検討されてきた。しかし、新奇恐怖は動物が飲食物の摂取時に引き起こす行動の変化であり、摂取量の変化は副次的な結果といえる。本研究では、ラットが新奇な飲食物を摂取する際の身体運動・姿勢の変化に注目し、躊躇行動としての新奇恐怖を捉えるための行動指標とその測定法を確立する。そして、行動薬理学的実験により、新奇恐怖反応を司る脳部位を特定し、関連する神経回路を解明する。
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研究成果の概要 |
げっ歯類 (ラット) を対象として、躊躇行動としての食物新奇恐怖 (ネオフォビア) に関わる脳内メカニズムを解明することを目的とした。まず、従来の測定法 (摂取量比較) によって、不安などの負の情動表出に関わるとされる腹側海馬の機能が嗅覚性新奇恐怖に関与する可能性が示された。また、ラットが新奇味溶液含有ボトルのノズル先端に鼻先を近づけてから溶液を摂取するまでの潜時を調べたところ、水を摂取した時と比べて潜時が長くなる傾向が示された。この行動傾向が躊躇行動を反映するかどうかについてはさらなる検討が必要であるものの、新奇味溶液呈示時のラット行動変化の一端を明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
食物の呈する匂いへの反応も食物新奇恐怖の特徴を説明する上で重要であるが、嗅覚性新奇恐怖の研究例は少なく、未解明な点が多かった。本実験の結果は、味と匂いの複合刺激としての食物に対する新奇恐怖の生起メカニズムを解明するために重要な知見と言える。食物新奇恐怖は現代人の非健康的な食習慣と関連することから、その脳内メカニズムの解明によって、ヒトの食習慣改善のための介入法につながる生理学的・神経科学的基盤を提供できる。また、食物新奇恐怖を示す動物の行動傾向を解明することは、飲食物を報酬とする行動課題 (迷路課題やオペラント学習課題) のプロトコルの精緻化につながる可能性も考えられる。
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