研究課題/領域番号 |
19K14539
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 学習院大学 (2021) 早稲田大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
佐々木 東容 学習院大学, 理学部, 日本学術振興会特別研究員 (60822484)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 双曲曲面 / 測地カレント / サブセットカレント / 稠密性定理 / 交点数 / 曲面群 / 自由群 / カスプ付き双曲曲面 / カスプ / 閉測地線 |
研究開始時の研究の概要 |
種数2以上の向き付けられた閉曲面には双曲構造が入り(双曲曲面と呼ぶ),その上の閉測地線に重みを付けたもの全体からなる空間を完備化したものが測地カレントの空間である.有理数を完備化して実数にすると直線となり,扱いがよくなるように,測地カレントも閉測地線と対応しつつ様々なよい性質を持つ.ここで,考えるている閉曲面に針で穴を空けてしまうことを考える(カスプ付きに対応).このときに,同様の仕方で測地カレント空間を考えたいが,これがうまくいくかは分かっていないため,本研究ではそれを明らかにすることを目指す.
|
研究成果の概要 |
双曲曲面S上の測地カレント空間GC(S)はSがコンパクトであるとき,S上の重み付き閉測地線の集合の完備化と見なされる.これは重み付き閉測地線に対応する有理的測地カレントがGC(S)の稠密部分集合となるという結果から従う見方である.有理数を完備化し実数にすることで扱いがよくなるのと同様に,測地カレント空間は閉測地線全体を扱うような研究において重要な役割を果たす空間である.本研究者は双曲曲面Sが面積有限カスプ付き双曲曲面である場合にも稠密性定理が成り立つことを示した.さらに,測地カレントの一般化であるサブセットカレントに関してもカスプ付き双曲曲面の場合に同様の稠密性定理が成り立つことを示した.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
双曲曲面上の測地カレントはThurstonによって導入された測度付き測地線層(単純閉測地線の完備化)の一般化としてBonahonによって導入された.双曲曲面の変形空間であるタイヒミュラー空間や写像類群の研究とも密接に関係する.近年ではMirzakhaniによって閉測地線の数え上げ問題への応用が見出された.ただし,測地カレントを閉測地線の完備化と見るためには稠密性定理を示す必要があるのだが,これまではコンパクトな双曲曲面の場合にしか示されていなかった.本研究によりカスプ付きの場合でも稠密性定理が示され,測地カレントの研究の基礎的な部分が整備されたと言える.
|